Web内覧会その1~床暖房ハブ

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一条ブロガーの方々は、建築後は「Web内覧会」というカテゴリの記事を書いてらっしゃることが多いです。自分の家はこういうふうになりましたよ、ここをこだわったのですよ、ここが素敵でしょ、というのをWeb上で説明するという感じですね。

いくら一条の家は標準仕様で展示場と同等の家が建築できると言っても、やはり大きさや雰囲気的なギャップもあるですしょう。実際の設計や施工での工夫などを知ることができるという点でも非常に意義のあることだと思います。

しかしながら私は一条の家に住んで一年になりますが、そういう記事は書いて来ませんでした。なぜか。別に人様に伝えるほどのことは無いからです。無理して東京の片隅に建てたせせこましい家なので、参考になることなど無いです。

が、こないだ「沢山の記事があってすごいと思いますが、家の写真が殆ど無いですね」と非ネットでも指摘を受けたという背景が有りまして、やっぱりなんか書こうかなあ、と思い直していたところでした。

でも先に言ったように別に人様に見せるものなどありません。無いので、私は逆転の発想で「人様が普通は見せないようなところを記事にしたら面白いのではないか」と思ってきました。

例えばマツダは最近、クリーンディーゼルや高級志向コンパクト車などをいっぱい発表していて世間の評価も高いように思えるのですが、そんなマツダのものづくりというのはなんと世界中で選ばれたたった5人のファンの意見を元にしているそうです。100人が最も満足する最大公約数的な車を作るよりも、わかる人だけわかってくれれば良い、そういうものづくりをすることに賭けたということですね。マツダは自動車メーカーの中では小さい会社ですが、しかしそれでも一般的に見れば多数のグループ企業を有する大企業です。そんな会社が大胆なことをするな、と私はとても関心しました。

なので、それに倣うというわけでもないですが、私も100人が見たい記事を想像して作るよりは、「こんな記事面白いと思うのは一部の変態だけだろ!」という部分にフォーカスしていきたいと思います。私が変態であることを最大限に活かしたストラテジを選択します。ドラッカーあたりがきっとそういうことを書いているはずです。「変態であれ」とか。きっと書いてるはず。ドラッカーなんて読んでないけど。俺が知ってるのはヤマハドラッグスターだけだわ。

ということで第一回目は「床暖房ハブ」です。

床暖房ハブとはなんだ

床暖房ハブとは、床暖房の不凍液を分配するための装置です。不凍液を流すパイプのループの始点と終点が集中している箇所です。エリアごとに不凍液を流す/流さないの制御もここで行います。床暖房用のヒートポンプ(室外機)を出た温かい不凍液は1本のパイプで床暖房ハブに移動し、ここから各部屋に分散して流れていきます。で、またこのハブに戻ってきて1本のハイプに戻り、ヒートポンプに向かうという流れになっています。

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これが床暖房ハブの扉です。どこかにこれを据え付けなくてはなりません。先に述べたように、ヒートポンプから出た不凍液がまず最初にここに来るので、ヒートポンプと床暖房ハブはなるべく近い方がパイプ長が短くなるので効率的に有利と思われます。私の家の設計基準の一つがこのような「機械にやさしい家、機械を想った家」といえるかもしれません。機械が命です。いいよ。機械。

床暖房ハブの扉には鍵がかかっています。おそらく子供がいたずらできないようにという配慮でしょう。

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鍵はこういう簡素なものです。おそらく、すべての扉で同じ鍵だと思います。

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では開けてみましょう。

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開けるとすぐに目につくのはピンク色の不凍液が入ったパイプと多数のバルブです。うーん、素敵。

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ヒートポンプから出てきた不凍液は分配されて上部へと向かいます。特に断熱材の施工などはなさそうですね。家ごと断熱しているので屋内は断熱不要という判断なのでしょう。

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同じくもう一方の上部にはAC100Vのコンセントが2つ付いています。細い線はアースでしょう。おそらく。コンセントがひとつあるので、この中でRaspberry Piなどを動かして各種データのログを取るとかもできそうですね。まあデータ取ったところで何だって話ですが…。でも使えるか使えないかではなくて、できるかどうかが重要でしょう!それが男のロマンです。

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コンセントの下には大きなボックスが有ります。おそらくバルブを制御するための制御リレー回路などが組み込まれているのでしょう。

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右側の太いパイプがヒートポンプから出てきたホカホカの不凍液が入るパイプ、左側が分配するハブですね。小さな電線が付いているのはそれぞれ電気でうごく弁です。パッチンパッチンと切り替えるときに音がするのでおそらく電磁弁であると思います。ソレノイドバルブとも言いますね。

右側のネジ式の手動バルブは、床暖房を使わない時期に閉める…とどこかのブログで見たのですが、営業さんに確認すると「床暖房を切っている時も気泡を取り除くために間欠的に運転するので締めないでください」と言われました。仕様が変わったのでしょうか。

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ここが一番の見所ですよ!電磁弁が整然と整列するのは壮観な眺めですね。弁の両端は水道関係でよく見るパッキンで止められています。ウォッシュレットとかを施工するとこういうパッキン使いますね。弁の素材は真鍮っぽいですね。真鍮の弁なんて普通に暮らしていたら見ないですからね。でもこんなにも身近にあるんですよ!弁!電磁弁ですよ!美しいですね。

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弁ですよ!!

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下方にはループの終端(多分)があります。運転中だったら温度差でどちらが始端でどちらが終端かわかるのですが…。もう一方の便は普通の手動の弁ですね。マイナスドライバーで開閉するようなタイプです。

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手書きで1~6の番号が振ってあります。

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うーん、このラミネートされた手作り感がとても良いですね。どういう人が何処で作っているのでしょう。一条工務店製造部ラミネート係みたいな方が居るのでしょうか。

年間施工棟数がツーバイ(i-smart/cube)で8000棟くらいと聞いたことがあるので、年間休日が130日くらいと仮定してだいたい230日が勤務日数とすると一日あたり34枚くらい生産することになりますね。1日34枚ラミネートしてパンチで穴を開ける、という作業に専任の係が居るようには思えないので、庶務の女の子とかが事務所でプリンタからPDFを印刷してラミネートしてパンチするのでしょうか。

可愛い子だったらいいですね。一生会うことはないと思いますけど、それでも可愛い子だったらいいな、と思うのが男です。

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手動バルブの調整という欄をよく読むと、温度の調整ができると書いてありますね。なるほど、リモコン側では最大4ゾーンの温度調整になっていますが、配管は6つなのでより細かな制御ができますね。使うことはあまりなさそうですが。しかし、よく考えたらゾーンごとに温度調整もできるんですよね。

もしかしたら、先程まで電磁弁と言っていたのは電動弁かもしれないですね。床暖房のエリア別温度設定は、流量を細かく制御して温度を調整しているのだと思われますが、電磁弁だと全開と全閉しか制御できません。パッチンパッチン音がなるのは単にリレーが動作する音なのかもしれません。

いや、しかし、あんなに小さい電動弁ってあるのかなあ…。とてもあれに収まるサイズのモーターでは出力が足りない気がします。やっぱりあれは電磁弁で、単純に設定温度以下なら全開、設定温度以上なら全閉というのをしきい値付きで制御しているのかもしれません。

弁と蒸気に関してはTLVのサイトが非常に詳しいので興味がある方はご覧になると面白いかと思います。

電磁弁と電動弁 | TLV

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真鍮の色を見ると心が穏やかになりますね。真鍮、素敵です。

こうやってバルブが並ぶのを見るとスチームパンクっぽいですね。余談ですが、私は大友克洋がかなり好きで、スチームボーイにも公開前から相当な期待を寄せていたのですが、個人的にあんまりおもしろくなかったです。スチームボーイの元となったのはオムニバス形式の映画「MEMORIES」の最後に収録されている「大砲の街」だそうで、この構想をふくらませていったのがスチームボーイにつながったと聞いたことが有ります。

「大砲の街」は短いですが私はとても好きです。あの独特の絵面が良い。大日本帝国海軍が1割、ドイツ第三帝国が2割、ソ連が7割くらいでブレンドされた世界観もいいですね。あのポスターや文字に現れる共産主義臭がたまらないです。95年公開とありますが、よく見るとカメラマッピングらしき手法が使われていたりと、CG技術的にも当時最先端だったのではないでしょうか。最後、部屋の電気を消してから石野卓球のEDテーマが始まるまでの演出も格好いいです。

話を床暖房ハブに戻します。

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ハブの蓋の裏側にはいろいろな注意書きが書いています。説明書を紙で渡されるとなくしやすいですから、重要事項をこのように貼ってもらえるのは良いと思います。

まとめ

真鍮の弁が良い。リレー回路の箱を開けてみたい。電動弁と電磁弁は用途に応じて適切なものを選択する。