どちらが安い車なのかざっくり判断する

何か最近似たようなことをたくさん書いていてどうかと思うのですが、掲題のようなことを以前感じたのを思い出したので、書いてみます。

質問です

車Aよりも車Bの方が5km/L燃費が良いです。ただ、車Bの方が10万円高いです。車にかけるお金をなるべく安く済ませたい場合はどっちが買うのがお得でしょうか?

これを厳密に解こうとすると、情報が足りません。走行距離、燃料費、燃料費の変化、使用状況、etc...。そういうのを全部ひっくるめて計算できればいいのですが、常に電卓やスマホが手元にあるわけでもなければ、計算している時間もなかったりします。おおざっぱにトータルコストに効いてくるファクターはなんでしょうか?大ざっぱに車のトータルコストに響いてくる要素を知っていれば、比較検討するときも大ざっぱに判断できるので便利かとおもいます。今日はそれの紹介です。

結論から言えば、車の値段、走行距離、燃費(km/L)です。ここで注意が必要なのが、評価しなければならない燃費は比較する二車種の相対的な差ではなく「値(の大きさ)」です。たとえば、10km/Lと15km/Lの比較、30km/Lと35km/Lの比較では同じ5km/Lの差ですが全然値段が違ってくるということを伝えたいと思います。

車の値段

まず第一に車本体の値段が支配的になります。それは、日本人の一般的なドライバーの平均走行距離程度では、車の本体価格と比較したときに燃料費がとても小さいからです。具体例を見てみましょう。「車のローン/燃料費シミュレータ」で計算してみます。

まず、走行距離を決めます。「運輸部門における省エネ対策の効果とエネルギー消費の将来見通しについて」という経産省ソースのデータを見ると、2010年度で自家用車1台あたり9480kmという試算があり、かつ年々減っていく傾向にあるという事でしたので9000kmと決めてみます。ガソリン代は160円/Lとしてみます。

この条件で燃料費を求めると、たとえば燃費が20km/Lの車で年間燃料費が72000円、25km/Lの車だと57600円という結果になりました。年間で14400円の差です。約1.5万。5年乗って7.5万円。せいぜいこの程度なのです。

対して、車両本体価格の値段の差はどのくらいでしょうか?車種によって値段はバラバラで、付属させるオプションなどによっても大きく変わってきます。車種を比較検討していて、車種間の価格差が数万円のオーダーであるというケースははあまり無いでしょう。たいてい、10万単位のオーダーでの比較になるのではないでしょうか。車の値段が支配的になるケースはこんな場合です。

ただ、場合によっては燃料費のほうが支配的になるケースもあります。それを次で説明したいと思います。

燃費と走行距離

燃費や走行距離の値(相対差ではなく値)によって燃料費がどの程度変わってくるのかというのを具体的に把握しているひとは少ないのではないでしょうか。少なくとも私はまともに計算したことはほとんどありませんでした。

下記のグラフを見てください。

これはガソリン価格を160円/Lとしたときの燃費に対する年間燃料費の関係を表したグラフです。横軸が燃費[km/L]、縦軸が年間燃料費です。

たとえば、年間走行距離1.5万kmの場合で7.5km/Lの車と10km/Lの車を比較した場合、年間の燃料費は前者が32万円、後者が24万円。なんと8万円も違います。

では、今度は燃費が20km/Lの車と22.5km/Lの車を比較してみます。走行距離が1.5万kmだった場合、前者が12万円で後者が10.7万円、たった1.3万円の差になってしまいました。同じ2.5km/Lの差なのに、10km/L近辺での比較では8万円も差がありましたが20km/Lを超えると1.3万円程度の差に圧縮されてしまいます。つまり、異なる2車種の燃費を比較する場合、燃費の差だけで判断してもあまり意味がないということがわかります。

こんどは走行距離を変化させてみましょう。10km/Lの車を年間1.5万km乗った場合と1万km乗った場合ではどうでしょうか。前者が24万円、後者が16万円と、これも8万円もの大差がつきます。では、燃費が20km/Lの車で年間1.5万km乗った場合と1万km乗った場合は前者が12万円、後者が8万円と4万円の差に圧縮されます。燃費が倍になると燃費向上分のメリットは半分になってしまうわけですね。

車両価格と燃費と走行距離の関係

上記の細かい数字の説明を読んでいない人は多いでしょう。分かります。私にはすべてお見通しです。だからもっとグラフィカルにわかり易く説明します。

大ざっぱに言えば下記の図でコストの差が激しい領域(青い部分)では走行距離と燃費の方が車体価格よりも支配的な傾向があり、そうでない領域では車両価格の方が支配的な傾向がある領域ということです。

さらに言えば、走行距離はほとんどの場合においてコントロールできない要素です。人によって生活パターンは決まっていますから、年間の走行距離は大体同じで大きく抑えたりすることは難しいでしょう。なので考慮すべきなのは車両価格と燃費の「値」(絶対値、と言った方がわかり易いかも?)の2つだけになると思います。

この関係を頭に入れておけば、大ざっぱな判断材料となるのではないでしょうか、というのが今回の記事の主旨です。

例1

トヨタVOXYを買おうとしています。ハイブリッドを買う方が長期的に見ると得なのでしょうか。得じゃないのでしょうか。(またVOXY/ノアを貶すようなことをしてすまんが、だって、好例なんだもん)

  • VOXY HYBRID X : 23.8km/L, 293万円
  • VOXY X (FF) : 16.0km/L,  244万円

グラフで言えばこの辺です。

車両価格は約50万円もあります。年間1万kmも走らないのであればガソリン車が圧倒的優位だとざっくりと判断できます。1.5万kmでは4~5万の年間燃料費差ですがこれでも50万の差があるのでガソリン車の方が優位そうですね。ということが表よりざっくりわかります。「車のローン/燃料費シミュレータ」で比較してみましょう。車1がガソリン、車2がハイブリッドです。頭金、金利その他はデフォルト設定のまま。

年間走行距離: 15000km 

車その1の…
月間燃料費:12422
月間ローン支払い:29389
月間支払い計:41811

車その2の…
月間燃料費:8403
月間ローン支払い:36812
月間支払い計:45215

車1が月間3404円安いです。

 …ということで、なんと、金利分まで含めれば年間1.5万km程度の走行距離では何年走っても初期コスト回収不可能という結果になりました。もし年間3万kmで66年走れば初期コストをペイできるらしいです。なのでお金の理由でハイブリッド仕様を選ぶ理由は皆無と思われますが、でも、ハイブリッドが好きで好きでたまらない、ハイブリッドであることに価値がある。燃費?関係ねえよ、ハイブリッドであるか否かが重要だ。という人(私に若干そういう嗜好があります)はハイブリッドを選ぶと良いかもしれません。

 例2

中古で20万円の180SX(中期)と、中古で50万円の3代目マーチではどちらが得でしょうか。

  • 180SX 11km/L 20万円
  • マーチ 21km/L 60万円

 

まあ多少恣意的な比較なのはおいといて、上記のあたりの比較になりそうです。年間5000kmくらいなら大差なさそうですが、1万以上走るとちょっと180SXは高そう、とざっくり判断できます。

実際計算してみましょう。頭金10万円で年間1.5万km走った場合は

車その1の…
月間燃料費:18182
月間ローン支払い:3181
月間支払い計:21363

車その2の…
月間燃料費:8036
月間ローン支払い:7574
月間支払い計:15610

車2が月間5753円安いです。購入費用をペイするためには4.2年かかります。

5年くらい頑張って乗ればマーチのほうが安いということですね。ここまで来ると燃費を考慮すべき事例と言えるかもしれません。でも、あと5年持つ180SXが果たして日本に何台あるのか?という疑問はありますが、たとえば私の好きな漫画「ジゴロ次五郎」では自分の息子もシルエイティに乗せるぜ!みたいな終わり方をしてるのでたぶん大丈夫でしょう。次五郎自体、結構昔の漫画だろうが!っていう突っ込みはやめてね。

年間走行距離が5000kmならば180SXのほうがむしろ安いという結果になりました。あんまり走らないならば205psのパワーを存分に味わった方が楽しそうですね。

…とここまで書いて気づきましたが、良く考えたら180SXはハイオクですね。ハイオクの値段で計算しなおすのはしんどいので勘弁してください。

 まとめ

年間走行距離が5000kmかそこらの人が検討するならば、ガソリンをマフラーから吐き捨てるような昔の車を買わない限り、どんな車を買っても大差ないはずです。燃費はシカトして燃費以外の要素、つまり車体価格や見た目、サイズなどで決めればよいと思います。

年間走行距離が1万kmくらいの人が燃費が10km/L台の車を検討していて、かつ比較対象の車の車体価格が拮抗しているばあいは多少燃費も気にかけてあげたほうがいいかもしれません。

年間走行距離が1.5万kmを超えるような人ならば、燃費性能は高い方が好ましいです。が、何十万もかけてハイブリッドやディーゼルを買うよりなら素直に安いガソリンモデルを買った方が良い場合も多いかもしれません。