新型デミオはコスト面で優位性があるか

新型デミオの情報が続々と登場してきている。

マツダによるクリーンディーゼル車が続々とリリースされてきている。CX-5、アテンザ、アクセラ。しかし車体価格はアテンザ、アクセラで300万オーバー、CX-5で200万半ばからという価格帯だ。

ディーゼルの強みは言うまでも無く、高効率であること、低回転からの太いトルクの二点だろう。これらに価値を見いだせるユーザー層では売れるだろうが、車にあまり興味の無い層やコストを比較的重要視する層、簡単に言えば今そもそも車に乗っていなかったり、低排気量の小型車や軽自動車に乗っている層へのアピールはまだ弱い。こういった層は車は必要だから買い、欲しいから買うとは思っていない(根拠は日本自動車工業会の市場動向調査)。単純に通勤や普段の買い物で車が無いと不便な地域であるから買うだけで、鉄道網が発達していたり自転車にのれば大抵のお店へ行けるなんて状態では不要である。と、おそらくこう思っている人が多いのだろう。

そういう人は車に何を求めるかというと、単純に地点Aから地点Bに人や荷物を運ぶための簡便な手段を求めているだろう。その様な観点で見たときに、ディーゼルでトルクフルだとか、最新の技術がふんだんに投入されたクリーンな環境車だとか訴えてもアピールにはならない。しかし、「燃費が良いですよ」「安くてそこそこパワーがあってお得ですよ」という観点ならばまた違ってくるだろう。つまり、コスト(コストパフォーマンス)を最重要視するということである。

結局、車を売るというのはビジネスであるので、少数の「車の事を良く知っている層、車の良さが分かる層」にのみ売れても残念ながら経営上の数値は良くならない。そして大多数のユーザーがコストを最重要視している。今後マツダが本気でクリーンディーゼルを売り出して行きたいのならば、もっと安い車体価格でハイブリッド、第三のエコカーなどに対抗できる製品を作っていかなくてはならない。そうしないと、生産ラインが維持できないだろう。

で、私がそんなことを指摘するまでも無く、マツダの中の人はそれを重々にわかっていて、次期デミオではそれにチャレンジしてくるはずだ。はず、というか、ほぼ確定と言っていいと思っている。今回は、現在報じられている噂から色々想像してみたい。噂なので、信憑性は無い。あくまでも参考値として読んで欲しい。

評価方法

いくつかの車の年間の維持費を算出してみた。ここで、維持費は以下のように定義した。

年間維持費[yen] = 車体価格[yen]/7[年] + (年間走行距離[km]/カタログ燃費[km/L]) * 燃料費[yen/L]

車体価格を7で割っているのは、7年かけて車体価格を支払うという想定のものである。頭金がゼロ円の計算であるので、実際の維持費はこれよりもずっと安くなるだろう。が、順位には大きく影響しない筈だ。リセール前提であれば順位もちょっと変わってくるかもしれない。また、ここで、保険や税金などは勘定に入れていない。入れれば若干の差が出るかもしれない。あくまでもざっくりとした計算式だと考えてもらいたい。

データ

下記のデータを使用した。

グレード 価格 燃費[km/L]
アクセラXD ¥3,067,200 21.4
アクセラHYBRID-C ¥2,440,800 30.8
アクセラ15S ¥1,900,800 19.4
ミライースG SA ¥1,213,715 35.12
AQUA S ¥1,861,715 37
AQUA L ¥1,748,572 37
デミオ15XD(?) ¥1,760,000 30
15XDTL(?) ¥2,120,000 30

 

ガソリン価格(L/yen) ¥160
軽油価格(L/yen) ¥135
年間走行距離 7000

 

ここで、(?)が付いているデミオのグレードに関しては、グレード名、価格、燃費いずれも噂から想定した参考値である。

計算結果

グレード 年間維持費
ミライースG SA ¥205,279
AQUA L ¥280,066
デミオ15XD(?) ¥282,929
AQUA S ¥296,230
アクセラ15S ¥329,275
デミオ15XDTL(?) ¥334,357
アクセラHYBRID-C ¥385,049
アクセラXD ¥482,330

 

以上は年間維持費の昇順で並べている。

やはり軽自動車はずば抜けて安い。コストを最優先視するユーザー層の軽自動車に対する強い支持は今後も続くだろう。また、AQUA Lとデミオ15XDが拮抗している。高々2千円の差であるので、長距離高速度巡航が多いような使い方ではデミオXDのほうがずっと実燃費は良くなりそうだ。

デミオ15XDTLと言われている、最上位グレードに関して言えばアクセラ15Sよりもちょっと高めになる。

修正計算式による計算結果

前述の年間維持費を以下のように修正してみた。

年間維持費[yen] = 車体価格[yen]*0.1/7[年] + (年間走行距離[km]/カタログ燃費[km/L]) * 燃料費[yen/L]

車体価格に0.1を掛けているのが相違点だ。これは、多くのユーザーがどちらかというと車体価格よりも維持費を重視するような傾向にあることから、相対的に車体価格が及ぼす影響をぐっと小さくさせたいという理由からだ。

維持費が安いのを重視する傾向にあるという根拠は、これもまた日本自動車工業会の市場動向調査による。トータルコストが安いことを重視するのであれば、トータルコストの中で最も大きい比率が車体価格なのだから(新車購入の場合)、あまりこれは論理的でないように思える。

最初に頭金を払って、のど元過ぎれば・・・という感じで、日々ガソリンスタンドや4月に払う税金で財布から出ていくお金が顕在化して見えてしまうのだろうか。もしくは、車体価格に関しては選択の余地がある(車種が選定できる)のに対して、燃費や税金ものは与えられたものを受け入れるしかないので自分が能動的に操作できないファクターである、と思っているからこそ、燃費性能が高いことを最重要視するのだろうか。

いずれにしろ、ユーザーが望んでいるのが維持費であれば、維持費をより重視する数式で評価してみるのも面白いのではないかとふと思いつき、車体価格が占める割合をぐっと小さくしてみた。0.1という値を選択したのは、このくらいにすると燃料費と同じくらいのオーダーになるからだ。

で、以下が計算結果である。

グレード 年間車体支払 年間燃料費 年間維持費(計)
ミライースG SA ¥17,339 ¥31,891 ¥49,229
AQUA L ¥24,980 ¥30,270 ¥55,250
デミオ15XD(?) ¥25,143 ¥31,500 ¥56,643
AQUA S ¥26,596 ¥30,270 ¥56,866
15XDTL(?) ¥30,286 ¥31,500 ¥61,786
アクセラHYBRID-C ¥34,869 ¥36,364 ¥71,232
アクセラ15S ¥27,154 ¥57,732 ¥84,886
アクセラXD ¥43,817 ¥44,159 ¥87,976

 

結局、順位は大して変わらなかった。これは、車体価格が安い車は燃費が良い傾向があるためだ。小さい車は車体価格が安く、さらに重量も軽いために燃費が改善できるからだろう。ということで、計算してみたけどあんまり意味は無かった。

ただ、年間燃料費だけで見比べてみると面白い。AQUAとミライースとデミオの年間燃料費がほとんど変わらないのである。カタログ燃費でこれであるから、長距離高速度巡航が多いユースケースでは恐らくデミオが一番年間燃料費が安くなるのではないだろうか。そうすると元々あったディーゼルの太いトルク、というアドバンテージも相まってユーザーにはより強いアピールが可能になるだろう。しかし、ストップ&ゴーが多い環境ではもしかしたらハイブリッドが優勢かもしれない。いずれも、確実なことは実際に走らせてみないと分からないとは思うが。

まとめ

ディーゼルのデミオが本当に176万円という価格で売られ、かつ、燃費が30km/L程度ならば競合車種に十分対抗できるコストパフォーマンスになると思われる。212万円という価格だとまだ若干高いという印象を受けるが、しかしコストを重視するような人はそもそも最上位グレードを買わないだろうから、この比較はあまり意味は無いかもしれない。

逆に言えば、ディーゼルモデルのデミオの最下級グレードは176万円程度で燃費も30km/L近くないと、競合車種との戦いは厳しいとも言える。

数年前の時点では「ディーゼルはガソリンモデルから30万を車体価格に上乗せしても利益はほとんど出ない」と言われていた。だが、ディーゼルも少しずつ進歩してきている。今回はピエゾインジェクターからソレノイドインジェクターへ変更するなどのコスト低減策も見て取れる。実際に燃費や価格がいくらになるのか、発表が楽しみである。