サラリーマンか起業か

男だったら誰しも一度は起業について考えるだろう。私も日ごろよくそういうことを想像する。

企業に所属して仕事をしていると、まあ、最初は右も左も分からないので言われるがまま業務をこなす。そのうちにダメなところ、改善したほうがいいところが分かってくるので、それを提案し始める。会社を良くしようと行動してみる。それで一定程度の項かは出るかもしれないが、しかし、個人の力で大集団を変えるのはとても大変な作業であることに気付く。人を変えるよりも自分を変えたほうが簡単だ。

さらに経験を積み、業務の一通りの流れが分かって、自分一人で仕事を回すことができるようになったあたりで、「自分一人でこれ受注して仕上げたら、数か月で俺の年収稼げるじゃん」と気づく。このあたりから起業を考えるようになるだろう。

しかし、会社を立ち上げるための各種手続きを進めるための知識を得るのはそれなりに面倒な作業なのであって、ならば、エンジェル投資家やインキュベーターなどを頼るべきか。いや、でもそういうのはマジでマジもんの競争世界であるので「今の仕事自分で全部受注したら儲かるじゃん」程度の発想では通用しない。

リターンと、リスクと、法律と、資金と、手続きと、顧客と、ビジネスモデルとを、そういうことをいっしょくたにして損得勘定を行っていると、だんだん面倒になってきて、「まあ今でもそこそこの給料もらってるんだから良いじゃん」という発想がぽんっ、と、ポップコーンが弾けるかのようにその起業というモヤのなかに突如として生まれ、しだいにそれがあちこちで、「30歳の平均給与みろよ。わざわざ今の給料を捨てる気か」と、ぽん。「大体家買って嫁と娘を養ってるくらいの給料があるんだから文句言うなや」ぽん。と、弾け、いつしか起業というあいまいなモヤとかカスミみたいなものは消え去ってしまう。

しかし、消え去ったと言っても元々がモヤとかカスミみたいなあいまいなものなので、ただ単純に分散されただけであって、新聞などを見ていたり、世の中に出て雑貨屋、小料理屋、病院などを訪れた際にふと気づいた問題点、そしてそれに対するソリューション、が突如として頭の中にひらめき、それをきっかけとして四散していたモヤが一気に凝集、あれこれ勘定をはじめるのだけど、いずれはその「今のままでも結構いいじゃん」というポップコーンがそれを切り裂いて堂々巡り。難しいと思う。

転職サイトに登録していると色々とスカウトメッセージみたいなものが届く。その中にはすごく興味をそそられる求人もいっぱいある。そういうのに応募してみたい気もするが、大体が即戦力を要望しているという点が引っ掛かる。たとえば私のケースだと歓迎スキルにHadoopとか書いているところが多いのだけど、私は使ったことが無い。使う自信はあるが、現状の実務でHadoopを使うことは無い。つまり実務経験が積めない。

そうじゃなくて伸びしろを見てくれよ、というふうに言いたいのだけど、私もいよいよ30歳を目前としているので、世間的には伸びしろはあまりないと判断されるであろう。むかつく。むかつくがしょうがない。

大体、どんな会社でも従業員が二人以上いればそこには人間関係が存在し、人間関係が存在するという事は意見の相違も発生するのであり、そこから始まるビジョンの違い、価値観の違い。めんどくさい。私は元来引きこもり体質なのであって、人間とは一切隔絶した世界でひたすらにコードを打っている方が自分の力を発揮できると思っている。そういう人間がベンチャーなどに行ったらどうであろうか?絶対やっていけないね。

じゃあやっぱり親や嫁などを代表にして会社に所属したまま起業して一人で出来る分をちまちまやり、小銭を稼ぐというほうが性に合っているような気もしてくる。

そういうことを夢想していると夢想そのものが面倒になり、脳の中にアミロイドβ蛋白が蓄積されてくる。するとそれを排除しなければならないので、脳細胞の隙間を浸透してゆく体液を積極的に循環させる必要があるので私は常々そうしたいなあ、と思っているのだけど、仕事が忙しくなかなかそういう暇もない。

つまり眠いので寝たいが寝れないという話。