リムパックに中国が参加

リムパック(環太平洋合同演習)に中国が参加するそうです。これについて、ネットで「アメリカは日本を軽視して中国に寄っていることの表れ」などという意見を目にしました。そこからお決まりのパターンで、9条がどうとか、アメリカの言いなりがどうとか議論が飛躍するのでしょう。たぶん。

リムパックとはハワイ近海で隔年周期で行われる太平洋地域の国々の軍事演習です。アメリカ、ニュージーランド、カナダ、オーストラリア、韓国、日本などが常連ですが、イギリスやフランス、オランダといった国々も参加経験があります。また、アメリカの同盟国に限った事ではなく、過去にはロシアも参加したことがあります。今回中国が参加するのも物珍しさこそありますが、まったく予想できなかったというレベルでもないでしょう。

アメリカは中国に肩入れし始めているのか?

そんなことは無いと思います。普通の軍事交流の範囲でしょう。今回はアメリカから中国に参加の持ちかけがあったそうですが、これを持ってして、アメリカが中国重視の姿勢を示していて、尖閣や南沙諸島関係の問題でアメリカが親中国寄りな態度を取るのではないかと危惧しているようです。しかしながらこれは的外れなように思います。

アメリカは中国が尖閣や南沙諸島で妥協はしないでしょう。ここで妥協するというのは、中国が太平洋に進出するのを許してしまうということです。中国の言う第一列島線(九州からフィリピンを通って南に延びるライン)はアメリカにとっての中国封じ込めラインでもあります。ここの突破を許すという事はつまり第二列島線(グアム、サイパンを通るライン)まで中国の影響が及ぶことを許すということです。

現在のクリミア情勢で米欧が連携してロシアに制裁を加えているさなか、一方でアジアでは妥協をするというのは首尾一貫性に欠けます。ここで妥協したらアジアにおける米国のプレゼンスは一気に低下するでしょう。それはアメリカとしても避けたいはずです。であるからこそ、アメリカは何度も何度も繰り返し南沙諸島や尖閣では譲歩しないという趣旨を述べているわけです。

今回リムパックに中国を招待したのは、単純に軍事の透明性を確保したいというだけでしょう。中国はどんどん軍事費を膨張させている割に大した説明を行っていませんし、尖閣や南沙諸島の情勢は芳しくありません。偶発的な事故が起こっても誰も得しないのでそういうことは中国も米国も避けたい。だから中国も日本も韓国もアメリカもみんなひっくるめて、現場のレベルでそういうことが起こらないように交流を深めましょう、というだけであると思います。それ以上の意味は何もないと思います。つまり、アメリカと言えども戦争は避けたいのです。