カニ、泥、母親、BMW、高原の夢

久しぶりに夢日記を記す。今日見た夢は最悪だった。4~5回も悪夢を見た。

カニの夢

女友達の家に遊びに行く。すごく重厚な家で、瓦で、ヒノキのぶっとい柱が立っている。外の天気はなんだか気持ち悪く、夕日に染まって真っ赤である。街のシルエットとの高いコントラストが不気味だ。まだ点く時間になっていないからだろうか、該当がひとつも点灯しておらず、しかし、往来は十分に暗い。明らかに設定ミスであると思う。なにか悪いことが起こりそうな予感がする。住宅街の一角で、タクシーを降りた私は、その重厚な家におずおずと侵入していった。

出迎えてくれた友達は尋常の口調で、ああ、久しぶり。よく来たね。と出迎えてくれた。座敷に通され、座布団に座る。でっかい木のテーブルがあり、荒々しい木目だ。屋久島の樹齢数百年の木を切ってそのままニスを塗り、テーブルにしたらこうなるだろう。たぶん高いんだ。

障子の下方をみると妙なことに気づく。透明度が高い柄がはめ込んであって、そこに魚の姿が見える。鯉のような大きさの魚で、白とか、朱とか、そういう色鮮やかな斑模様が栄えている。その視線に気づいた友達が、気づいた?と笑顔になり、手元のボタンをぴっ、と押すと、今まで障子であったところが途端に透明なガラスへ変化し、そこに大きな水槽が現れた。青くライトアップされていて、まるで水族館のようだ。

すごいでしょ?これ。と自慢気に胸を張る友達。そういえば、魚の飼育が趣味だったと言っていた気がする。すると、水槽の奥の方からわらわらと、白くてでかいカニが湧いて出てきた。それを見つけた鯉のような魚が、バリバリと足を引きちぎって食い始めた。うわっ、気色悪い。私はカニ、エビが大嫌いだ。エビは大人になり、小さなものであれば食べれるようになったが、カニはもう見るのも嫌だ。あいつらはエイリアンに違いない。食用のカニの中には、クモの仲間も混じっているというから、それも頷けるじゃないか。地球上の生き物とは思えない。まして、それを食うとは、私にとっては狂気の沙汰だ。

その、鯉によりカニのバリバリはどんどん激しさを増し、水面が激しく波打つ。いやだ。やめて欲しい。ついに、逃れようとする白いカニの一群が、水槽を乗り越えて這い出てきた。うわっ。出てきたって。ほらほら。なんとかしてくれ。と私は懇願するが、友達はニコニコニコニコニコニコ笑っているだけ。

「古来中国では、カニに人肉を食わせる拷問があったのよ」

友達は言った。どういう意味だ。いや、俺にとってはカニに食わせるというか、もう見るだけで拷問なのだ。気色悪い。やめてくれ。その俺に向かって、友達は捕まえたカニを差し出す。無機質な目が、俺を見つめているのか、それとも、あさっての方向を見ているのか、それすらわからない。こいつらはエイリアンなのだから。およそ地球人が理解する範疇を逸しているのである。そうしているうちに目が覚めた。まだ夜の1時だった。

泥と高原

これら夢は、ひとつづきの夢であったのか、それとも、別々の夢だったのか、よくわからない。

私は泥沼に膝まではまっている。その泥には藁の切れ端が混じっていて、それが足に刺さって痛い。チクチクする。どこまで行っても泥まみれで、ようやく抜けだしたところに霧がかかっていた。近くに、テントが3~4つ張ってあって、中から食べ物の匂いがしてくる。近くに軽自動車が2台止まっている。ダイハツのmoveとスズキのハスラー。moveはかなり古い型で、シルバーで所々が錆びている。ハスラーも、最近登場した車種のくせに、ボディの色がくすんでいて、なんだか古い印象を受ける。

人の気配は無い。

奥に山小屋のような建物があり、中に入ると急に寒くなってきた。薪が積み重なっており、その幾つかを勝手に拝借し、薪ストーブに入れて火をつけようとした。が、うまく火がつかない。薪を割るのが面倒で、割らずにくべたからだ。しょうがないと、重い腰を上げて、おのを振り下ろして薪を割る。薪をくべる。ようやく暖かくなってきた。

が、外の霧はいよいよ深く、当面晴れそうにもない。足の泥がぬるぬるして気持ち悪い。洗い落とす水道もない。とりあえずストーブで乾かし、乾いた泥を振り落としてごまかすこととしよう。と思い、足を乾かしていた。この世には私一人しか居ない気分だった。

母親

実家に帰ると、知らない人がたくさん居た。小屋の中で列をなし、大根を洗っている。家の中では知らないおばちゃんがせっせと握り飯を握り、大きいお盆目一杯に並べて走り回っている。そして私を疎ましい目でみつめる。ここは私の家であったはずなのに、もはや私の居場所はない。

近くにいた、大根を運んでいるオッサンに、うちの母親はどこに要るのか。あなた方は農作業の手伝いを頼まれた人たちか。と、問うと、「お前と喋っている暇はない。お前の母親はもうすぐ帰ってくるからその時に聞け。そして、もう二度とここへは来るな」と言う。意味がわからない。

外は曇り空で、若干寒かった。夕立が来そうだった。同じく、妹が帰ってきて、この状況を訝しんでいる。妹は正常なようだ。妹が、これは、一体いかなる自体が起こっているのか。という旨を私に問うが、俺だって知ったこっちゃない。意味がわからない。とりあえず、オッサンの言うことを信じて、母親を待つしか無い。

暗くなってきた頃、はやり雨が降り始めた。そのころにようやく母親が車で帰ってきて、私と妹は駆け寄った。しかし、それを母が認めるやいなや、取り乱し始めて意味の分からない事を言いながら逃げようとする。それを私は捕まえ、妹に車を運転するよう支持し、母親を後部座席に詰め込もうとした。

そしたら、それを認めた、さっきのババア、オッサンどもが血相を変えて走り寄って来る。こらあ、んがあ、なにしてるっけなあぁああ!みたいな事を叫んでいる。何か武器のようなものを持っているようだ。

ようやく押し込めた俺が後部座席からすぐに車を出すよう伝える。妹は車の運転が苦手だったはずだが、勢い良くバックし、車を切り返してから思い切りアクセルを踏み、スピードをあげた。これは妹の車なのだろうか。見たことのないSUVだった。まだ新しい。

私は母親に何があったのか問い詰めようとするが、よくよく見ると、母親の顔が以前と違っている気がする。こんな顔であっただろうか。この人は別人じゃなかろうか。たぶん、喋りかけても分からないだろうな。そう思いながら、色々聞いてみるが、やはり明確な答えは帰ってこない。

これからどうすべきか。父親を探すべきか。しかし、奴らは明らかに敵対的なので奴らから情報を得ることは出来ないだろう。どうすればよいか。私は車の中で、頭を抱えた。

友達の家

懐かしすぎて、現代に体を忘れてきたまま、魂だけ過去に戻ってしまったような居心地の悪い夢だった。

私は田んぼのあぜ道で遊んでいる。水路をジャンプして乗り越え、稲の刈り終わった田んぼの真中で、凧揚げをしていた。その後で、友達がやってきて、スーファミをやろう、と言うので、そうすることにした。田んぼから農道まで戻ってくると、顔つきの悪いオッサンが「お前ら子供が人の家の田んぼで遊ぶな」という旨をひどい訛りで喚いている。

私達は聞こえないふりをして、自転車で帰った。私の自転車は7段変速のマウンテンバイクで、友達の自転車は、サスペンションが付いている、ベルト式で、オートマチックの自転車だった。電池が入っていて、規定の速度に達すると自動的にギアがかわるものだった。私はそれが羨ましく、そうだ。それで、高校生になった時に、同じくオートマの自転車を買ってもらったのだった。良い自転車だった。あれで、地元の街を、なんにもない道を、何十キロも何十キロも走り回っていた。

友達の家につくと、もう日が暮れていた。友達の母が、私達にカレーを作ってくれた。それを友達の部屋で食べた。友達の部屋は32型のフラットブラウン管のテレビがあって、その上にはS-VHSが見れるビデオデッキがダビング用に二台、その隣に東芝製の格好いい筐体のパソコンが有り、ISDNで24時間インターネットにアクセスできた。反対側にはオーディオアンプとイコライザがいくつもあって、部屋の中にも巨大なスピーカーが何個も有り、ウーファーもあるし、とてもうらやましかった。友達はそれらをジャンクショップで安く買ってきて使っていたのだった。

まだ時間はいっぱいあるので、私達はインターネットでオーディオについて調べたりとか、ビデオデッキについて調べたりとか、そういうことをして過ごした。夜食にカップ麺を食うつもりだった。遠くでは花火大会が始まっていて、今日の夜はFreeBSDをジャンクのPCにインストールする。

明日になれば、庭には180SXとシルビアがあって、それに乗り、各々の大学に行き、ゆくゆくは、彼女を作り、結婚し、子供が生まれ、クーペからセダンやハッチバックに、いずれはミニバンになり、そうやってみんな大人になっていく、みたいな。子供の頃から大人までが一日で過ぎていった。

BMW

初めて、今の新しい家の夢を見た。私の夢に出てくる場所というのは、大体が過去に住んでいた場所であって、今住んでいる場所の夢を見るのはあまりない。でも、そういう夢を見た時に、初めて私は現状の環境に慣れたのだと思うことにしている。

私は夢の中で、ようやく原付バイクを手にしたところだった。外はもう暗く、小雨が降っている。うちの前にはプリウスと3シリーズのBMWが止まっている。3シリーズのBMWは、私が昔乗っていた軽自動車を知人に交換してもらって手に入れたものだ。現実にはBMWも軽自動車も所有したことは無い。

隣の家の旦那さんが、「BMWいいですね」と言っていた。いや、まあ、中古ですから。と答えた。友達と一緒に、タイヤの溝はあるかな、と覗きこむと、結構な溝が残っている。7割くらいは残っていそうだ。

しかし、「これを見ろよ」と言われてよくよく見ると、ところどころブロックが割れていたり、人為的に切り取られたような跡がある。「タイヤくらいは自分で買えってことなんだろうな」と言った。

別の家の旦那さんも出てきて、ちょっと乗らしてくれ、と、こちらが返事をする前に乗って行ってしまった。それを追いかけて、その奥さんが走っていった。雨が本降りになってきて、家の中の黄色い明かりが漏れていた。

車は、その人の家の前に停められてあった。ちゃんと持ち主の家まで持ってこいや。と思った。さっさと駐車場に停めようと思うのだが、鍵がない。家に一度戻ってスペアキーを取ってこようと戻る。すると、今度は家の前に知らない軽乗用車が停められてある。ふざけんな。BMW持ってきて塞いでやる。と思い、家の中に入り、スペアキーを取り、外にでるともう居ない。完全におちょくられていると思った。なめている。

BMWに乗り、車をバックさせると、なんということだろうか。全然ブレーキが効かない。目一杯踏み込んでサイドブレーキをかけるが、それでも止まらない。バックモニターを見ると、人がいる。危ない。止められない。

とにかくブレーキを踏み続けると、ようやくスピードが落ちてきた。その通行人はすでにこちらに気づいている。こっちを見て「アホか。歩行者優先だろうが、ボケェ」とでも言いたげな視線を送っている。その視線をよく見る。見たことがある顔だ。なんと。そいつは俺だった。いや、俺は運転してるじゃないか。こいつは誰だ。俺のコートを着て、俺の顔をして、俺が不機嫌なときの顔つきで、俺は歩行者だ、ぼけぇ、みたいな視線を送っている。なんて嫌なやつなんだ。

俺はすぐにギアをファーストに入れ、今度は前に走り始めた。が、ブレーキが効かないのはわかっている。ちょっとテストしてみよう。ゆっくり走って思い切りブレーキを踏むと、なんと。キキキーなどいう音を立ててしっかりと止まりやがった。バックだけ止まらないのだ。どういうことだ。

ふと、前を見ると、またここにも怪訝な目が。そうだ。この目にも見覚えがある。こいつは俺だ。運転できねーなら外車なんか乗るなよ。ボケ。クソサンデードライバーが。家でグランツーリスモでもやってろ。ハゲ。と言いたげな視線を送っている。こいつは俺だ。俺のコートを着て、俺の顔をしている。しかし俺は運転しているじゃないか。しっかりと視線が合ったのに、俺は俺が運転していてなんとも思っていないようだ。気づいていないのか、なんなのか。

もしかして、俺は鏡を見ていないのだけど。俺はもう俺ではなくなってしまっているのではなかろうか。

目が覚めるともう朝の5時だった。もうすぐ目を覚ましたら会社に行かなくてはならない。などと思い。また寝た。