就職活動日記 12月~2月

これは数年前、就職活動していた時の記録です。仕事を4年位継続したあと、振り返ってみてどうだったかも併記して、再度掲載してみたい。ちなみに、2009年4月入社。

12月

準備

とくに就活らしい就活はしない。敢えて言うなれば、手帳、革靴、バッグ等を買う。 安物を買って、入社前にまた買い直すよりは今そこそこ使えるものを買ってしまおう、ということでそこそこのものを買う。 革靴は7千円。バッグが1万円。キャリーバッグ1万円。手帳1000円。今思うと、キャリーバッグを買ったのは大変いい選択だった。 後々、大活躍することになる。ここまでの出費は2万8千円。

1月
1月。2月から説明会がちらほら入ってきて、3月から本格化するようなので、説明会の予約を始める。 初めて行く会社は通信A子会社でSI/SE/パッケージソフトの開発なんかをやってる会社。この会社は、元々国営企業で非常に安定している。と、書くともうどの会社か分かると思う。 これからは子会社はただ子、と書くことにする。その後にSIとか、主な分野を書くことにする。つまり、この会社は通信A子SIと記すことにする。 通信A子SIを選んだ理由は、まずソフト開発がやりたかったこと。かつ、残業が少なそうなこと。福利厚生が良さそうなこと。先進的な技術を有していること。 とりあえず現段階での第1志望である。 その他でエントリーしておいたのが、メーカーC子SI、メーカーC子SIその2、メーカーC子地方SI、通信A子地方SI等である。 メーカーC子が多いのは、先輩の就職先がメーカーC子系列に多く、良い評判を聞いていたからである。 実はこの段階では、自分がどういう仕事がしたいか、ということが明確に決まってはいなかった。ただ、ソフトウェアの開発、ということは揺るぎなかった。 が、なんとなくSI系はちょっと違う、とは思っていた。違うと分かっていたにもかかわらずその業界を志望したのは、純粋なソフト開発にもっとも近いからだ。

この時点では、SEになりたい、と思っていた。このとき、SEというのは、SIをやる会社で、プログラムを打ったり、仕様を決めたり、というイメージであった。また、SEが死ぬほどきつい、という事もよく耳にしていた。だから、本当にSE系の職種でいいのか、という気持ちにもなっていた。 よって、SE(SI)がどういう業界かということも、様々な媒体で調べることとした。

2月
説明会

実は、このとき私は初めて東京に行った。東京駅には行ったことがある。修学旅行の、新幹線の乗り換えで。ホームに40人くらいが体育座りするのは恥ずかしかった。そして、22歳にして初めて東京に。正確には東京駅の外に。だから、ちょっと遊びたいという気持ちもあった。 よって、2月前半に通信A子SIの説明会に行ったのだが、自分の彼女も連れて行った。遊んだ。ネズミ御殿に行った。「鼠御殿海の巻」のほうである。楽しかった。彼女は東京に住んでいた経験があるので、無理して引っ張っていって案内させたのだ。迷惑かけたね。

通信A子SIの説明会は、品川近辺だった。山手線のラッシュは大変恐ろしかった。 が、ここで奇跡が。どこかの駅である程度人がはけたとき、「オイ!」と肩をつかむ人間が。なんじゃ。お前は誰だ。

と、振り向くと、はたして彼は僕の大学時代の友であった。僕は修士として残り、彼はすでに働いていたので、こうして朝の山手線で出会った。 しかも聞いたら彼も出張で東京に来ていたとのこと。なんたるミラクル!死ぬほどテンションがあがった。びっくりした。ミラクルにも限度がある。

で、前置きが長くなったが、通信A子SIの説明会は、なんとなく良さそうだった。社員の対応もよく、資料にも手が込んでいた。 あと、やはり会社の紹介ムービーを見せられた。これは常套手段なんだろうか。質問もしてみたが、何を聞いたかはよく覚えていない。こういうのだと質問した意味が無いので、ちゃんと記録すべきだと思う。 説明を聞いた後に筆記試験をやった。なかなか難しかった。基本はSPIだが、難易度は高め。ちゃんと勉強しておけばよかったと後悔する。 ここまでの出費は約5万円。もちろんネズミーシーの入場料と称する夢と希望の対価は入れていない。宿泊費も入れていない。日帰りでも帰れたからだ。実際は+2万5千くらいかかっているはずだ。

グループディスカッション&座談会

2月後半に、再び通信A子SIのGD&座談会に招集される。うざい。 座談会は、要するに先輩社員に質問をぶつける会なのだが、案の定質問する人が少なかった。熱心に質問していたのは10人中僕をふくめ3人だった。1度も質問しなかった人も4人くらいいた。お前等は何しに来たんだ。

後述:
会社に入ってから、座談会などに先輩社員として参加することが多々有りますが、大体質問するのは1~2割の人で、後の人は相槌を打つだけ、というパターンが多いです。こういう人は明らかに印象が悪いです。座談会などは名前を確認しないことが多いため、採用プロセスに影響しないといえばそのとおりなのですが、興味をもつという姿勢は大事でしょう。

GDのテーマは「一つの会社に勤める上で2番目に重要なことはなにか」であった。つまり、解説のほうで説明したとおり、どちらかというと発言力や説得力というよりは対人スキルをみるような気がする。 で、5人の組に分かれ、休憩時間の雑談から始まった。僕の他に気の合いそうな修士が一人。クレヨンしんちゃんの野原ひろしに似てるからひろしと呼ぶ。 あとは学部生。一人はあらゆる意味で普通の人。一人はうざそうな人。残りの二人はあまりしゃべらない人。 特にうざい一人。困ったちゃんであった。外観が桃っぽいので、桃ちゃんとかわいらしく呼ぶことにする。

桃ちゃんは休憩時間中、自分は情報系の学生で、SEの営業希望なんだ。営業ってさ、実力主義じゃん?俺は話すことが好きだし、向いてると思うんだよね。と、聞かれても居ないのに、しゃべる、しゃべる。はっきり言って桃ちゃん、超うざい。ぜったいGDも空気読めない。たとえば、僕が会社に勤めているとして、OA機器の営業で桃ちゃんが営業にきたら、間違いなくはったおすだろう。お茶くみのお姉ちゃんもうざい!とはったおすだろう。部長なんかは意地悪だから、持ってきたスキャナーで桃ちゃんの乳首を白黒スキャンするかもしれない。

いざGDが始まると、ひろしがまとめ役となって話を進める。さすが理系修士。話がわかりやすかった。 僕も意見を言う。時間を気にしつつ意見をまとめる。たとえば、皆の意見はこういう風にカテゴリ分けできるよね。で、テーマは二番目に重要なこと、だから、こいつらに順位をつければ結論は導き出せるんじゃないかな。とか。なんとか。

が、メンバーが悪かった。2人は最初に自分の意見を述べてから一言も言葉を発しないし、桃ちゃんは訳の分からないことを連発するし。普通の子は普通だからいいんだけど、なんだか僕とひろしだけがしゃべり、桃ちゃんが横から茶々いれてるような 雰囲気になってしまった。これはまずい。だから僕も参加を促そうと、「ここはどう思う?」などとふってみるものの、ううん、とか、ああ、とかしか言うし、その間にも桃ちゃんはすでに終わった議論を掘り返し、妙なことをのたうち回る。僕は桃ちゃんがはっきりとむかついてきた。はったおしたかった。

そして、残り10分で結論をまとめなくてはならないという段階になり、さあ、急ぎましょうと皆が文章を組み立てるのに取り組んでいる最中、桃ちゃんは突如、「じゃあみんなはインドに行っても良いの!」と叫んだ。 意味が分からなかった。この子は気が狂ったんだとおもった。桃ちゃんは腐っておる。が、面接官も見ているので、本来であれば切り捨てることろであるが、「インドって何?」と優しく聞いてみた。 「だから、もし上司にインドに行け、って言われたらみんなはインドに行くの!」と叫んだ。そして理解した。

すなわち、桃ちゃんは「一つの会社に勤める上で2番目に重要なことはなにか」というテーマに対し、勤務地というのは非常に重要度の高い事柄である。それを無視するなどというのはけしからん。と、主張しているのである。 僕は怒った。なぜならば、意見の交換や主張というのは議論の最初の段階にすべきであり、今皆が結論の文章を組み立てようと試行錯誤しているときにわざわざ掘り返すのは、議論の進行を妨げているだけだからである。桃ちゃんは最初からずっと、我々の話などきいて居なかったのだ。だから、自分の主張ばかりを繰り返し、皆の足を引っ張る。桃ちゃんは自分の意見が通ればそれでいいのだ。

だから僕は言った。「それは極論でしょう。そんなこと言ったら、給料が時給100円でも働けますか、とか何とでも言えますよ。今は時間がないので、残念ですがまとめることに専念しましょう」もちろん笑顔だったが。

桃ちゃんはそれからあまり話さなかった。不機嫌で目を合わそうとしなかった。時間が来て、面接官が反省会をするとき、なぜか桃ちゃんだけを他の面接官のグループに入れた。「議論がかなり横道にそれたね。時間の使い方も良くない」と言われた。その通りだと思った。GDは空気を読む試験だよ。先輩のその言葉がリフレーンした。

終わった後、駅までみんなで歩いたが、桃ちゃんは居なかった。その後、僕はひろしに秋葉を案内してもらい、牛丼を食い、分かれた。ひろしは最後までいい奴だった。ここまでの出費は約6万9千円。

後述:
グループディスカッションの結果は、メンバーにかなり左右されます。個人の能力や性格よりも、偶発的な事柄に左右されることがあまりに大きいです。なので、私は正直、グループディスカッションの目的がよくわかりません。採用側も、とりあえず他社に追従しよう、みたいな考えでやってるところが多いのではないでしょうか。もしそれが正しいならば、良いところを見せず、落ち着いた感じで受けたほうが良いかもしれません。

軌道修正

通信A子SIの面接や、GDを経験して、なんだかSI業界は自分の求めるものと何だか違う。という思いが強くなってきた。 僕は顧客と話し合い、仕様を決め、ソフトを作り、動かし、保守する。なんて仕事よりは、技術的困難を解決し、皆に自慢できるような大きな仕事がしたかったんだ。 もちろんSIでもそんな事はできるだろう。けれども、うまく言えない。なんか違う。どちらかというと、僕はハードウェアも好きだし。組み込みソフトのほうが面白いんじゃないか。そう思うようになってきた。

よって、2月の中盤くらいの段階で、SI企業を全部やめることにした。なので、入れた説明会のうちの大体をキャンセルした。 通信A子SIは、一応残しておくこととしたが、志望順位は1位からずっと下落した。あまり興味もわかなくなっていた。

後述:
結論から言うとこの考えは間違いでした。私に組み込みソフトは向いていません。就活中は一気に世界が広がるので、目移りしてしまうことも多いですが、新たに得た情報と、それによって揺り動かされた気持ちは、0.4倍くらいに補正して考えたほうがいいと思います。

その代わりに、精密機器メーカーの組み込みソフトを作る子会社を受けてみることとした。なぜ精密機器かというと、特に光学の分野では日本の企業はかなり強い印象があったからだ。 よって、精密A子SE、精密B子SE、精密C子SE、精密D子SEの4社の説明会を新たに組み込んだ。これらはすべて光学に強い企業である。また、メーカーB子SEも説明会を入れた。 メーカーBは合同説明会により、元々好きな会社ではなかったが、主に福利厚生や先進的な制度にひかれていた。今回はその子会社で、特にソフト系に特化した会社であった。

ただ、後述するように、ここで組み込みソフトをやりたい→精密機器という発想しか出来ないのは失敗だった。カーエレクトロニクスや航空宇宙関係、AV関係など、組み込みで面白そうな分野は多々あったのだ。 まあ、コンシューマ向け製品は納期が短そうでちょっと敬遠したということもあるんだが。

励まし

研究室の後輩、先輩、教授、からしょっちゅう「withpopは大丈夫だよ、絶対すぐ決まる。心配してない」という旨の事を言われる。 助教授からは、「withpopは新しいことをすぐに吸収できるスキルがあるから、どこでもうまくやっていけるよ」といわれ、後輩連中が頷いていた。 正直、かなり嬉しかった。尊敬してる人から励まされるのは嬉しい。大学はいってから、こっちの方面でもっとも嬉しい瞬間だった。 が、やはり不安は募る。この段階では企業で自分が評価されるかどうかなど未知数なんだ。バイトの面接であれば落ちた事なんてないんだが。

後述:
就職活動に失敗した時は、自分が否定されたように感じて落ち込む人が多いと思います。けれど、そんなことはありません。就職活動もビジネスです。ビジネスにはチャンスや縁があります。会社によって価値観や評価する点も違います。能力が高ければ高いほどいろんな会社から内定をもらえるというわけでもありません。
企業と就活生は単にマッチングの問題です。テレビという枠の中から一社の製品を購入するのとか、数多の男女の中から一組のカップルが誕生するのと、とてもよく似ています。