東京の大雪で一条工務店の家はどうなったか

※写真はこちら
大雪で一条工務店の家はどうなったか(補足)

2月8日~9日にかけて、東京では45年ぶりの大雪が降りました。

私は秋田出身なので、この程度の雪どうってことないと思いきや、街も家も雪が積もるという想定で設計されていないため、何かと不便があったような気がします。何かの参考になればと思い、書いてみます。

玄関のドアが開かない

一番びっくりしたのがこれでした。玄関のドアの前に雪が積もっているのでドアが開かないのです。

よくよく考えてみると、雪国で開き戸というのはあまり。ほとんどが引き戸だ。開き戸であるのは、たとえばアパートやマンションなどで、通路が建物の中に場合だけだ。

これはもう物理的にどうしようもないので、ちょくちょく扉の前の雪をスコップ等で排除するしか無い。

一応付け加えると、これに対処しようとして引き戸を設置するのは馬鹿げている。引き戸は開き戸に比べて気密性や防犯性の点で劣る。数十年に一度レベルの降雪のために開き戸のメリットを捨てるのはもったいなさすぎる。

ソーラーパネルからの落雪

うちの屋根はほぼ全面ソーラーパネルになっている。当然ながら、パネル表面はつるつるしているので雪が滑り落ちやすい。

このため、家の設計時には、建築士の方から「雪止めを付けたほうがいいと思う」とかなり勧められた。その理由としては、雪止めが無いと雪が落ちてきて危険、ということだそう。

しかしながら私は雪止めは付けなかった。その理由としては、

  1. いつまでもパネルに雪が残っていると発電できないので、むしろ雪はすぐ落ちて欲しい
  2. 夫婦ともに雪国育ちなので、晴れた日の軒下は危ないという意識が身にしみついている
  3. 雪が落ちるであろう箇所は我が家の敷地内で道路とは反対側、泥棒と家族以外は歩かない場所である

という感じだ。

で、今回、気温が上がってくると雪が落ちてきた。ズドーン、ズドーンと結構すごい音がする。地元だと聞き慣れた音だが、かなりの音で家も揺れるので、慣れていない人は恐ろしいかもしれない。

雪が屋根から落ちてくるエネルギーと言うのは結構すごいもんで、たぶん、ひ弱なウッドデッキくらいだったら破壊されると思う。地元では、家の周りにプラスチック製のトタンみたいな形で波型の板を使って囲いをするが、これもたまに落雪で破壊される。

東京など、そもそも雪のほとんど降らない地方では、雪が積もって太陽光発電出来ない、という事が少ないので、安全第一で雪止めを付けたほうがいいかもしれない。

ヒートポンプがダメ

ヒートポンプとは、まあ、簡単に言うとエアコンの室外機みたいなやつである。エアコン暖房、エコキュート、ヒートポンプ式床暖房など、これらの方法でお湯を沸かす、暖房を使う、などの方法を採用している家は多いだろう。

このヒートポンプは、電気で熱を移動させる機械である。イメージがつかないかもしれないので、エアコンを例にちょっと詳しく説明しよう。

夏の場合

夏、エアコン(とヒートポンプ)は部屋の熱を吸い取って外に放出するという作業を行う。部屋の熱を外に放出しているので、夏場、エアコンの室外機の前に立つと、ものすごく熱い風が吹いてくるのを感じることが出来る。

冬の場合

冬、エアコン(とヒートポンプ)は外気の熱を吸い取って部屋に放出するという、夏とは全く逆の作業を行う。冬場、エアコンの室外機の前に立つと、ものすごく冷たい風が吹いてくるのを感じることが出来る。

・・・以上のような感じだ。

このような状況を頭に入れた上で、冬場、室外機がどうなるのか考えてみる。冬場は冷たい風が室外機から出てくる。冷たい風は場合によっては零下に達するので、エアコンの室外機からの風で室外機周辺が凍りつく。凍りつくと空気の流れがなくなり、うまく室外機が動作しなくなってしまう。

こういう状況になったら、室外機は霜取り運転というやつを始める。これは、一時的にエアコンをクーラーとして動作させて、室外機から熱を放出させるのだ。すると、周囲の氷が溶けて調子が良くなる。

けれど、この霜取り運転というのは当然だが電気代がかかる。一度氷を溶かすためにクーラーとして動作させるのだから、どれだけエネルギーを無駄遣いしているかよく分かるだろう。でも、そうしないと運転が継続できないのだからしょうがない。

他にも、あまりにも外気温が低いと効率が悪くなるなどの理由で、こういうエアコン暖房みたいな方法は雪国では普通採用されない。

で、今回も外に出て室外機を確認してみると、やはり、何度か霜取り運転をした形跡があった。

霜取り運転を繰り返すと、周りの雪が凍ったり溶けたりを繰り返すので、透明度の高い氷がガッチリと付着する。雪は普通白いので、明確に区別が付くはずだ。

今回は、部屋の中が寒くなるほどに運転効率は低下しなかったため、特に放置しておいて問題無いと思うが、一応お湯をかけて霜をとった。ここでやってはいけないのが、氷を叩いたりして取る方法と、少量のお湯をかけて氷を溶かすこと。

前者の叩く方法は、放熱フィンを折り曲げてしまう。室外機の放熱フィンは指で押しても簡単に曲がるくらい弱いので扱いには注意が必要だ。後者の少量のお湯をかけるのは、お湯がすぐに再凍結してしまって余計氷を作ってしまうことになる。大量の熱いお湯を一気にかけるのが大切だ。その際は、熱で簡単に変形してしまいそうな樹脂部分などが無いかしっかりチェックしておくべきだろう。

一応言っておくと、メーカーは室外機にお湯をぶっかけるなどという方法など想定していないだろうから、自己責任でやって欲しい。

アーバンルーフ

一条工務店のi-smartには「アーバンルーフ」というオプションが有る。玄関ドアを開けたところに付ける簡易的な屋根だ。

これ、設計時に出してくれる3Dモデルイメージだと、ワイヤーでぶら下がっているようで格好悪い。というか、写真で見ても格好悪い。なんかオモチャみたいで気に入らなかった。さらに、結構高い。15,6万円したような気がする。が、うちの設計上、どうしてもこれを入れる必要があり、渋々選択したという過去がある。

しかし出来上がってみると、あまり安っぽさを感じさせず、特に意識しない限りは目立たない。よって、評価は一転し、付けてよかったと思えるようになってきた。

今回、大雪が降った時はこのアーバンルーフ上にもけっこうな雪が積もってしまった。雪の重みというのはバカにならない。雪を降ろさなきゃいかんかもなあ、と思っていた。しかし方法がない。柄の長いプラスチック製の雪かきスコップはあったが、角度的に積もっている雪には届かない。二階の窓からというのもちょっとむずかしい位置にある。

うーん、どうしようかと思い、結局、雪を盛って高い踏み台を作り、この上から雪を降ろそうとした。

それで、アーバンルーフの上の部分を観察してみると、結構しっかりと固定されている。ワイヤーで固定していると思い込んでいた部分は金属製(おそらくステンレス製)だった。スコップで小突いてみるがびくともしない。

結局、見た目よりもずっと強度がありそうだったので、安全を取って放置することとした。当然ながら、これで壊れるようなこともなかった。

雪国だとそもそもこのオプションを選択しないだろうから、実際問題になるケースというのは皆無な気がする。

玄関タイル

すごいすべる。

これは雪が降らなくてもそうなのだが、玄関タイルがかなり滑る。一条工務店のタイルがどうとかいう問題でなく、設計の問題でもなく、単純に凍っているからだ。

ちなみに、凍結防止のためには水はけが大事である、という意見をネット上で目にしたが、それには同意できない。地面の温度が十分に低ければ、水はけが良くても悪くても関係なく凍結するからだ。これは私の雪国で過ごした24年間の経験と、東京で真冬に洗車していた時に、あっという間に駐車場が凍結してしまった経験の両方が根拠である。冬、水があったら凍る。多少の水の流れ(≒勾配、水はけ)があっても関係なく凍る。凍るもんは凍る。

これを踏まえ、どういう対処法が考えられるだろうか。取れるオプションはそれほど多くない。

外部から継続的に熱を加える

寒冷地では道路の中に電熱線が埋め込まれているところがあったりする。また、一番良く見るのが温水を流し続ける方法。こういう方法で物理的に凍らなくするという手がある。
しかし、これは設備コストもランニングコストも個人宅でやるにはちょっと高い。AC100Vで動作する融雪シートが売られているので、それを利用するのが現実的だと思われる。

調べてみると、だいたい製品自体が数万円という感じだった。消費電力は数百ワットのオーダー。電気代は300Wで1kWあたり20円で計算すると、一ヶ月で2160円という感じになった。これで滑って転ぶ危険性を排除できるのを高いと見るか、安いと見るか、難しいところだが私は高いと思う。

ちなみに、「継続的に熱を加える」というのが重要だ。ヤカンなどで中途半端に水をかけると、すぐにまた氷になって固まってしまい、余計にひどくなるのでやめたほうが良い。

融雪剤を撒く

やってみたことが無いのでよくわからないのだが、融雪剤を撒くのも一つの手だは思う。しかし、車その他が錆びるという点であまり実用的ではないだろう。

氷を破壊する

スコップで氷を叩き割ると、気持ちいいくらい簡単に氷が除去できる。ただし、ある程度の氷の厚さが必要だ。もしやるときはできれば鉄製のスコップが良い。しかし、タイルを傷つける可能性がある。

すべり止めマットを置く

これが一番現実的な気がする。玄関先に置いて滑りにくくするマットがホームセンター等でよく売っている。これも万能ではなく、たまにマットごと滑ったりするが、ないよりは全然マシだ。さらにコストも安い。

唯一の難点は、見た目があんまり美しくないことか。まあ、美しさと安全を天秤にかけて美しさを取ることも無いと思うが。

カーポート

私が完全に盲点だったのがカーポートである。

カーポートで、片側だけに柱があるタイプをよく見るが、あのタイプのカーポートは雪の重みに耐えられない。これは、メーカーのマニュアルに書いていて、降雪時に雪の重みに対処するための支柱がオプションで売っている。

うちの場合は、外構屋さんが角材で支柱を作ってくれたのでそれを利用した。金曜日の晩に「支柱を建てておいたほうが良い」と電話で連絡を受け、立てておいたのだが、言われなければ気づかなかったと思う。

たしかに思い返してみると、地元でカーポートをつけている家は両側に支柱があるタイプだった。両側に支柱があるタイプのほとんどが2台用なので、東京あたりだとスペースが取れないという背景もあると思われる。

まとめ

以上、こんなかんじでしょうか。そもそも45年ぶりの大雪なので、普段から備えておく必要もあんまりないかもしれませんが、知識として知っておくとなにか役に立つかもしれません。もしそういう機会があれば幸いです。よろしく。

追記

続きも書きました。
東京の大雪で一条工務店の家はどうなったか(2)