ハイブリッドカーはお得じゃない

どういうことか示しましょう。

基礎:燃費と車体価格の差

年間の走行距離1万km、ガソリンが150円/Lとして計算すると、年間のガソリン代は以下のようになる。

・燃費が10km/Lの車:15万円
・燃費が15km/Lの車:10万円
・燃費が20km/Lの車:7.5万円
・燃費が25km/Lの車:6万円
・燃費が30km/Lの車:5万円
・燃費が35km/Lの車:4.3万円

以上の結果から、たとえば、燃費が10km/Lのスポーツカーに乗っている人が、燃費が35km/Lのエコカーに乗り換えたら、年間10万強のお金が浮く。これはすごいことである。

また、燃費が良くなるほど、ガソリン代の差はなくなってくるという事実が分かる。これも当然ながら重要な事実である。

実際のケースを考えてみる

ここに二台の車がある。

日産セレナ 20X: 2,384,550円、16km/L
トヨタ ノア HYBRID X:2,850,000円、23.8km/L

両者の値段差はおよそ47万円である。ミニバンで約24km/Lの燃費性能は圧倒的だ。セレナを検討していたが、ノアにするか迷っていて、約50万でハイブリッドになるならそれもいいかもしれない・・・なんて考えは、もしかしたら間違っているかもしれない。

先ほどと同条件、年間1万キロ、ガソリン150円で計算してみよう。すると、年間のガソリン代は

日産セレナ 20X: 9.3万円
トヨタ ノア HYBRID X:6.3万円

となる。両者の年間のガソリン代の差は年間3万円しか変わらないのだ。いやいや、3万円もあれば家族で1泊2日の旅行ができる。年間三万円は決して安くないよ。お得じゃん。なーんて思ってはいけない。なぜなら、両者には車体価格47万円の差があるからだ。この差を回収して、初めて安くなったガソリン代で元を取ったと言える。ではそれに何年かかるのだろうか。47/3=15.6だから、最初に払ったコストを回収するのに15.6年もかかってしまう。

さらに言えば、ローンを組めばこの47万円にも金利がかかるわけだし、年間1万キロという条件設定自体、かなり大きめの見積だ。多少データが古いが、日本自動車工業会のレポートによると、月間の平均の走行距離は450km、単純計算で年間5400kmである。この値で計算すると、両者の年間のガソリン代の差はたった1万5千円である。すると車体価格差をペイするのに31年もかかってしまう。31年なんて、車体寿命が来るどころか、人によっては車に乗れなくなる年齢になるだろう。

ハイブリッド車にも慈悲を

このままだとあまりにもハイブリッド車がかわいそうなので、もっと有利な条件で考えてみたい。

ハイブリッド者は町中のようにストップ&ゴーが多いところではとても良い燃費性能を発揮する。私はプリウスに乗っているが、町中で特に何も考えず普通に運転し、流れを乱さない程度には加速した状態でだいたい19km/Lといった印象だ。ノアはプリウスと同じエンジン・モーターを積んでいるが、ずっとプリウスよりも重いので、19km/Lは出ないだろう。16km/Lとしてみる。

対して、セレナは普通のガソリン車(S-HYBRIDは一般的な意味でのハイブリッドではない)なので、ストップ&ゴーが多い場所では重い車体があだとなって燃費は急速に悪化するはずだ。コミュニティサイトを見ると、だいたい6km/Lから10km/Lといったところだ。間を取って8km/Lとしてみる。

さらに、セレナはもうちょっといいグレードで比較してみよう。

セレナ ハイウェイスター アドバンストセーフティパッケージ: 2,654,400円

すると車体価格差はおよそ20万円まで縮まる。おまけに年間10000km走ることとしよう。町中ばっかりで年間1万キロってどんな条件なのか意味不明だけど、まあ気にせずにいよう。これで年間のガソリン代はどうだっ!

日産 セレナ ハイウ(以下略): 18.7万円
トヨタ ノア HYBRID X:9.3万円

ということで、年間9.4万くらいの差がついた。すると、なんと2年ちょっとで車体価格差をペイできる計算になる!すごいね!良かったね!

結論

本稿で述べたかったのは、「燃費を気にして車を選んでも、得にならない場合もある」ということであって、その実例を挙げました。「場合もある」と控えめな言い方をしましたが、燃費差が大きく車体価格差が小さい場合でないと得にならない場合が多いでしょう。

具体的に燃費を基準にして車を選んでいる人は、単純に燃費性能を比較するだけでなく、年間のガソリン代を自分のケースで計算してみるべきです。

ここからは私の意見ですが、燃費性能が思ったほどランニングコストに寄与しないならば、それ以外の部分(見た目、内装、走行性、機能性など)で選んだほうが良いのではないでしょうか。例えば私はプリウスに乗っていますが、それは燃費性能を気にするのではなくして、単純に変わったエンジンの車に乗りたかったからです。充電するときの回生ブレーキの音が格好よかったからです。こういう、一見賢くなさそうな選び方でも、本人が良ければ十分すぎる理由であると思います。

逆説的ですが、燃費性能をとても重視するので、ハイブリッドでなければダメ、お金的に損か得かなんてどうでもいい、車体価格差の回収なんかしらねえよ、どうでもいいよ、俺はなぁ、ハイブリッドとカタログスペックの燃費性能が好きで好きでたまらくてご飯3杯たべれるんだよお。という人は、前述の二車種を比較した時にノアを選んだほうが良いでしょう。それも十分にまっとうな理由だと思います。

た、だ、し。繰り返しになりますが、お金を節約したくて高い車を買うのは、結果的に目的を達成できないことが多いので注意しましょうという話でした。

最近やけに新型ノア(VOXY)の悪いところを強調する記事を書いていますが、深い意味はありません。

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