軽自動車税の増税について

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軽自動車税が上がるとかで、JAFと車屋と軽自動車ドライバーは激おこプンプン丸、という記事をよく見る。軽自動車税は上げるべきなのかこのままにすべきなのか。両者の意見をよく観察していこう。

まず軽自動車税を上げる理由から調べてみる。すると、軽自動車の一つ上、1000cc以上の自動車における自動車税は29500円であるのに対して、軽自動車税は7200円である。おかしいではないか。差が大きすぎるのではないか。という意見であることがわかった。ごもっともである。1000ccの車と軽自動車の車を比べると、昨今は軽自動車も再びターボ化、さらに室内の質感も向上しているし、両側スライドドアついてる車種なんかもあるし、すごく便利だ。便利で良い物を持ってるのに税金はこんなに安い。おかしいではないか。そのとおりである。

ちなみに、たまにこういう軽自動車制度や、排ガス規制を指して海外から「日本の自動車制度は閉鎖的で海外勢の参入を阻んでいる」と批判されることがある。でも私が思うに、外車が日本であんまり売れないのは単に高いからじゃないか。安いモデルを持ってくれば売れるだろ。でもそれをしないのはブランドイメージを大切にしてるからだろ。高級モデルを中心に持ってきて金持ちに買わせてりゃいいじゃねえか。今までもそういうマーケティング戦略をとっていたんだから。でもなあ、それで思ったよりも利益が出なかったからといって、「売れないのは日本のせい」とかうるせー、って話だよ。内政干渉だよ。ふざけんな。

まあそれはおいといて、確かに、軽自動車だけがこんなに優遇されているのは違和感がある。なぜこうなってしまったのかは、それなりの背景がある。そもそも、軽自動車税と自動車税は別物である。軽自動車税で決められているのは、原付やバイク、オート三輪の税金である。それぞれの年間の税額を見ていくと、原動機付自転車は1000円~1600円、ただし三輪は2500円。軽自動車の二輪(250ccまでのバイクのこと)は2400円、軽自動車の三輪は3100円、軽自動車の4輪で乗用、自家用が7200円である。いわゆる軽自動車の「軽自動車税」の7200円というのは、こういう枠組みの中で決まっている。

つまり、軽自動車とは税制的に言えば、250ccまでのバイクの延長って感じなのだ。その昔、軽自動車は360ccまでの排気量と決められていたことを考えると、このカテゴリ分けは合理的に思える。ただし、その後何度か排気量の規制が緩和され、現代では660ccとなっている。

これに対し、1000cc以上の車は「自動車税」という税金である。自動車税は単純に排気量のみで決められていて、もっとも排気量が小さいカテゴリである「1.0リッター以下」の自家用は29500円である。

つまり、軽自動車はそもそも、自動車というカテゴリに分類するにはふさわしくない、準自動車、みたいな扱いであった。それが時代の変遷により、両者が接近した。接近したのに、税制上は大きな乖離がある。おかしいではないか。その乖離を埋めよう。そのご意見はごもっともに思える。

対して、反対派の意見はどうか。

よく見るのが、「そもそも日本の自動車にかかる税が高い。軽自動車税を上げるのではなく、自動車税を下げるべき」という意見だ。そうなのだろうか。調べてみた。以下のグラフをご覧頂きたい。

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社団法人 日本自動車工業会

あれ?そんなに高くねーじゃん。アメリカが突出して安いだけじゃん。ちなみに、転載元のページでの主張は「重量税は税金を負担する能力(担税力)と比例してかからないので不公平」ということであった。まあそういう問題もあるだろうが、諸外国と比べて日本の自動車にかかる税金が不当に高いとまでは言えなそうだ。

あと、アメリカが突出して安いのは国の事情もあるだろう。車で通勤、車で買い物、でかい駐車場にでかいショッピングセンター。車中心の生活を送るインフラができている。対して日本はどうかというと、このクソ狭い島国に1億2千万も住んでるので、細い道もいっぱいあるし、カーブが激しい高速道路もいっぱいあるし、渋滞している道路も多い。土地が高いからでかい駐車場を作れない。こういう背景をガン無視して、アメリカのように税金を下げたらどうなるだろうか?みんな車を買ってたちまち道路は飽和状態だ。

したがって、国の方針として、あんまり車を増やさないような施策をやるべきなのであって、そういう意味では諸外国と比べて車にかかる税金が高かったとしても、正しい方針であると言えるかもしれない。個人の自由を尊重して制限なく各々がやりたい事をやっていたのでは国は滅亡する。民法第1条3項、権利の濫用は、これを許さない。

また、他の反対派の意見として、「地方に住む人にとって軽自動車は重要な足になっているので、増税はそういう人たちを苦しめることになる」というのもある。これはごもっともだと思う。私も地方出身の田舎っぺだが、田舎は家族一人に対して1台の車を所有するのが当たり前である。どこに行くにも車が必要だ。そういう点ではアメリカに近い。

だから、地方部に限っては自動車税を軽減する措置などは必要性が随分前から言われている。首都圏で高級車のってるクソジジイと田舎で軽を足に使ってる若人を同一に語ることがそもそもおかしいではないか。ごもっともである。ただし、日本の法制度上、地方自治体が自動車税を任意に決めれるようにはなっていないので、道州制導入したら考えなくもない、みたいな感じなのではないだろうか。

あと、他の反対派の意見としては「若者の自動車離れがさらに加速する」というのもあった。つまり、金がねー若者にも買える選択肢を残しとけ、という主張なのだろうか?これは、一応まだ20代の、一応若者の私に言わせると、理解できない。まず、車が好きな若者は、税金が高かろうと安かろうと乗りたい車に乗ると思う。車に興味がない若者は、昨今の車に魅力がなくなったとか、そもそも車でドライブとかいう生き方を選択しなくなったという時代の変化なのであって、税金が及ぼす影響というのは殆ど無いと思うがいかがだろうか。したがって、若者の自動車離れを防ぐために軽自動車税を据え置きしようという意見は、少なくとも私には奇異に見える。

と、ここまで税金上げてもしょうがない、みたいな論調を取ってきた。

しかし、それでも私は軽自動車税増税には懐疑的なのであって、それはなぜか。一番の理由は、「エコカー減税の拡大」とセットになっているという点である。これは私は方針が矛盾していると言っていいと思う。

私は、現状での究極のエコカーとは軽自動車であると思う。なぜか。軽自動車は小さいからまず材料がかからない。軽いから燃費も良い。ブレーキも消耗しない。ハイブリッドカーのようにレアメタルをたくさん使ったりしない。いいことずくめだ。

なのに、エコカー減税を拡充させておきながら、かつ、軽自動車税を高くするというのは、ダブルスタンダードではないか。エコカー普及させたいのか、させたくないのか、どっちじゃ。そう俺は言いたい。言いたいのだが、言い切れないところもある。

ここが本当に難しいところなのであって、つまり、エコカー減税もエコカーの普及を目的とした制度でないのだ。そもそもいわゆるエコカー減税、低排出ガス車認定制度というのはリーマン・ショック後の不況に対処するための措置として作られた経緯がある。つまり、国民に車を買って自動車業界を潤わせ、巡り巡って消費が拡大して金回りが良くなることで、日本国全体にいい影響を及ぼすという効果を期待したものであった。

だからといって「いっぱい車買っちゃいなよキャンペーン税制」という名前にしたら、お前アホか、ってなるので、表向き、「エコカーの普及をしたいがための制度ですよ」と言っている。

なぜエコカーの普及を進めることを目的とした制度でないのかは、エコカー減税制度で使われている燃費基準を見ると分かる。

「エコカー補助金」の概要について | 国土交通省
平成 27 年度燃費基準値及び減税対象基準値 | 国土交通省

上記を読むと分かるように、車両重量を16個のカテゴリに細分化し、さらにそのカテゴリごとに燃費基準値を決め、その基準値をどのくらい達成しているか、ということを計算し、75%達成ならいくら減税、とか決めている。このやり方からすると、アルファードもヴィッツも50%減税になるのである。おかしいではないか。アルファードなんか、ヴィッツに比べたら2tの固まりをガソリンを撒き散らすようにして走っているようなもんである。2tもある車体に、リアウィンドウに小中学生が着てるパーカーの柄みたいな、よくわからんカッティングシートの装飾を施したうえ、まるまる太ったデブが一人で運転席に鎮座し、近所のコンビニにジャージで行く、なんてのは結構見る光景なのであって、それのどこがエコカーだ。と思う。ふざけんな。歩け。

というわけで、エコカー減税とダブルスタンダードだ、と言っては見たものの、そもそもエコカー減税の目的はエコカーの普及ではないのでダブルスタンダードとも言えないかもしれない。

と、まあそういう背景があるわけです。記事中、多数「おかしいではないか」「ごもっともである」をたくさん書きました。税法は元々、おかしいことばかりなんです。あからさまにおかしいので、それを指摘するのはごもっともなわけなんです。でも本音を言ったらみんな起こるので、真意がバレバレなんだけど、形だけでも取り繕ってるんだと思う。

酒税が好例だろう。ビールが売れたから税金を高くする。発泡酒をメーカーが作る。発泡酒が売れるから発泡酒の税金を高くする。第三のビールを作る。第三のビールが売れるから・・・以下略。このときも、「売れてるからいっぱい税金取りたい法」なんて名前をつけたら、何やってんだお前、って怒られることは当然なので、そんなことは絶対に言わない。まあ、メーカーも「税金取られるの嫌だから作った発泡酒」なんてことは言わず、あくまでも「美味しさを追求して製品開発していたら偶然にもビールの定義を満たさなくなってしまった」と言っているのでどっちもどっちだろう。

というわけで、まああんまり結論らしい結論は書けないのですが、そんな感じで、世の中には本音と建前がたくさんありますので、皆さんに於かれましては、その真意を見極めた上で、惑わされることなく冷静な選択と行動をとってほしいと思っておりますので、一つ、よろしくお願い致します。

以上。

2件のコメント

  1. d9ra より:

    こんにちは。
    ようやく軽自動車の優遇税制について納得の記事に出会えました。半年遅れですけど。

    1. withpop より:

      コメントありがとうございました。
      私自身、今読み返してみて、なるほどな~と思いました。
      自分で言うのも変ですが、よく調べましたね。これ。

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