【アクアリウム】計画編1 濾過を考える(2)

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前回日記の続き。

いまは、流動フィルターというのがあって、なんでも、これが下水処理なんかでも使われている実績のある方法で・・・。海外では有名だけど日本に入ってきたのは最近、ということらしい。

(水との)比重が1に近いろ材(球状が多い)に水流を当てて、ふわふわと漂わせる。すると、見た目にも綺麗だし、ろ材が水に触れている時間も長いので効率的な生物濾過が期待できる、とのことだった。

んー。個人的には信用ならん。

生物濾過の能力とは、つまりろ材の面積に等しいはずだ。もっと厳密に言うと、水流がろ材に当たっている必要があるので、水流が当たっていないろ材の面積は生物濾過に寄与しない。この、水流が当たっている、生物濾過に寄与する面積のことを有効面積と呼ぶことにしよう。

ここに、同量・同素材・同形状で、比重が1に近いろ材があったとする。それを別々のろ過槽に分ける。片方はやや狭い容積のろ過槽で、ろ材を入れるとぴっちり満タン、って感じになったとする。もう一方は、大きめの容積のろ過槽で、水流を当てるとふわふわとろ材が舞うようなろ過槽だったとする。

この二つを比較すると、おそらく後者のほうが生物濾過能力は高くなるだろう。なぜならば、ろ材に水流がまんべんなく当たるからである。言い換えると、前者に比べ、有効面積が実面積により近づく。

流動フィルターのメリットというのはこういうところにあると思う。

たとえば、りんかい日産建設株式会社のここの高濃度生物膜ろ過処理工法に関するページを参照すると、いわゆる流動フィルター(排水処理の分野では、流動床処理とか、浮動ろ材などというキーワードで検索した方がヒットしやすい)のメリットとして以下のようなことがあげられている。

  1. 浮遊性の発泡ポリプロピレン(浮遊ろ材)を充填したろ過槽に原水を流すことにより、効率良く水質を改善します。
  2. SS分は浮遊ろ材で形成されたろ過層において捕捉・除去します。
  3. 溶解性有機分はろ過層の表面や孔に形成された微生物膜と曝気により分解・除去します。
  4. 浮遊ろ材である発泡ポリプロピレンが不定形でかつ比表面積が大きく、多くの微生物を保持できるため、高いBOD容積負荷で運転が可能です。
  5. 生物膜と水の接触効率が良く省スペース型の施設とすることが可能です。
  6. ろ材の比重が水より小さく浮遊しているため、ろ材の流動性が高く、目詰まりが生じにくいため頻繁な洗浄は不要となります。

アクアリウムでは聞き慣れないような専門用語も多いが、注目すべきは「ろ材の流動性が高く、目詰まりが生じにくい」ということと、「生物膜と水の接触効率が良く」ということの2点ではないだろうか。

生物濾過を行う上でまず注意すべきはろ材の目詰まりである。ろ材が詰まると酸素が行き渡らなくなり、せっかく繁殖したバクテリアが死んでしまう。しかし、流動フィルターではそのような心配が無い。かつ、浮遊しているため「生物膜と水の接触効率」が良いのである。

さら、以下の論文では、ろ材に定着していない浮遊菌の濾過に対する寄与率が10~50%もある、と示している。

生物膜の実験における基質除去に及ぼす浮遊菌の影響

浮遊菌とは、ろ過槽内を曝気(エアレーション)することで増殖する、ろ過槽内を漂うバクテリアの固まりである。いろんなサイトや論文を斜め読みしただけなので間違っているかも知れないが、ある程度の空気流量で曝気し、大量の酸素をろ過槽に供給することで、浮遊菌なるものが増殖し、濾過に大きな寄与をする、ということらしい。活性汚泥法や流動床方式など、曝気するタイプの濾過の全てにおいて、この効果は期待できるだろう。

じゃあ、翻って、観賞魚用の流動フィルターはどうだろうか?

まず、写真を見ると、ほとんどの製品において、ろ過槽とろ材の容積が非常に小さいことに気付く。写真なので実際の大きさは分からないが、印象的にはちょっと大きめの横掛け式フィルターみたいな感じだ。流動フィルターの利点は濾過効率の向上だが、当然、ろ材の有効面積は実面積を超えることは無いので、ろ材・ろ過槽の容積をケチることはつまり、生物濾過性能そのものを削っている事に等しい。

あと、曝気させるタイプの製品があまり無いことにも気付く。まあ、おそらく曝気したとしてもあんなにろ過槽が小さいのでは好気性バクテリアが繁殖する前に水槽内に水が戻ってしまうだろう。排水処理の分野では、ろ過槽いっぱいに水を貯めたら、濾過が終わるまではろ過槽への水の流入・流出は無いそうだ。濾過が終わり、有機物が汚泥となって底に溜まった段階で、上澄みを次の工程に移す、という作業になっているらしい。

以上をまとめると、流動フィルターの生物濾過性能というのは、流動フィルター中のろ材の容積以上には決して高まらないということが想像出来る。目詰まりがなく、ろ材の容積が同じである限りは、ほかのどんな方式のフィルターともあまり大差ない気がする。

長くなったが、現時点での結論をまとめてみたい。

私が昔熱帯魚をやっていたとき(90年代初めくらい?)には無かったような製品や思想がたくさん見受けられるんだけど、濾過装置に関しては昔ながらの外部フィルターが一番良さそうだ。外部フィルターはメンテナンスが容易な上にろ過槽を大きく取れるのでろ過能力も高い。

昔はエーハイムの外部フィルターなんて、近くのホームセンターで定価で売られているのを見て金額的に手も足も出なかったが、いまはネット通販でそれなりに安く売られている。これを使わない手は無いだろう。

ろ材に関しては、色々考えたが、洗車スポンジが良さそうだ。解説ページを見ると、私の考え方とすごくマッチする。特に、次の一文には深く同意できる。

大きい気泡のおかげで、粒子のサイズが小さくても通水性が極めていい。濾材の内部まで水がよく通るため、酸素が濾材の内部にまで供給される。そのため、濾材の内部まで濾過面積として作用し、広い濾過面積が確保できる。しかも、大きい気泡は詰まりにくいサイズであるため、この性能は長期にわたり持続すると予想される。

洗車スポンジを使ったことのある人なら誰しもが知っているだろうが、洗車スポンジの通水性はすごく良い。同じような台所用スポンジや、風呂掃除用のスポンジと比べると段違いの差だ。

このサイトの管理人さんは、このフィルターの前段階の処理として、プレフィルターを利用しているそうで、ここで物理的に大きなゴミを濾し取っているようである。ただ、今現在、いろんな通販サイトを眺めてみても、プレフィルターとして良さそうなものがなかなか無い。氏は、フルーバル製のプレフィルターを使用しているらしいが、これはもう生産されていないらしい。その他だとエーハイムのプレフィルターがよくヒットするが、これは馬鹿みたいにデカイと不評だ。

色々考えた末、エーハイムのサブフィルターを使って、ここで物理濾過をやってみようと思う。