家を建てる記録(計画編2)

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10月始め

まずめぼしい住宅メーカーを調べることとした。目指すは高気密高断熱住宅。さらに調査を進めた結果、高気密高断熱住宅は、ただ単に高気密高断熱なだけだと空気が滞留してシックハウス症候群の原因物質が蓄積されたり、単純に呼吸の結果排出される二酸化炭素が充満してくるため、計画的な換気が重要であること、そして、24時間の換気システムが法律上義務化されていること、を知った。

換気システムには第一種、第二種、第三種があるということも知った。第二種は吸気の取り入れる換気口にファンを置いて室内を陽圧にすることで換気を行うシステムである。こうすると湿気が壁の隙間から壁内に到達して構造材が腐る原因になるため、一般住宅では採用されないことを知った。普通の戸建て住宅では、第三種換気が最も一般的らしい。排気ファンを使って室内を負圧にすることで換気を行う。

が、俺はこの第三種換気システムが大嫌い。前に住んでいたマンションと今住んでいるアパートがこの第三種換気なのだが、もう、単純に寒い・乾燥するor暑い・湿気るのである。当たり前である。年がら年中ずっと換気しているのだから。このせいですぐに風邪を引くようになった。かといって、ファンを停めればシックハウス症候群の原因物質が蓄積する。我々は寒い寒い、暑い暑いと良いながらせせこましい生活を強いられる。これは面白くない。

で、重要なのが第一種換気システム。第一種換気システムは空気の吸入口と排出口の両方にファンをつけることで、外界と同じ気圧のまま換気することができる。空気の通り道も容易に制御できる。で、第一種換気システムは熱交換システムと併用されることが多いよう。つまり、換気によって冷暖房効率が悪くなるのをある程度防げるのである。これによってさらに冷暖房効率が上がる。科学技術の力は偉大だと思う。

次に工法。工法は調べた結果、木造軸組(従来工法)、ツーバイのいずれかが良いと思った。これは耐久性、高気密・高断熱を考慮して考えた結果である。木造軸組は、まあ、従来工法と書いてあることからも分かるとおり、従来の日本建築と同様にして柱や梁を用いて構造を作る工法である。従来工法と書かれると、そんな古い方法で地震に耐えれるのか?耐久性があるんか?と疑いたくなってくるが、現に、何千年も建ってて地震にも耐えてきた寺とかがごまんとあるわけで、決して地震に弱い、耐久性が無いというわけでも無いらしい。ツーバイは外材をメインに使った工法で、2インチ×Xインチの規格化された木材と、合板を組み合わせて作るモノコック構造である。Xインチが4インチなら2x4、6インチなら2x6となる。

阪神大震災で全半壊したツーバイ住宅が無かっただか、劇的に少なかっただかで、地震にも強いというイメージがあるらしいが、ツーバイ工法で主に使用している木はSPF材と呼ばれる外材である。これは腐食にも弱いしシロアリにも弱い。日本の気候には適さないと言われている。ただ、ツーバイは先に言ったとおりモノコック構造を取るため、元々気密性を高めやすいというメリットはあるようだ。

それ以外の工法に関しては、ほとんど検討しなかった。鉄骨プレハブ造は工場で作った構造を据え付けるのが基本なので間取りに大きな制限を受けるし、道が狭いと重機が入らないから建築できない、と言ったこともあるらしい。後者は東京だと重要だ。さらに、熱伝導率の高い鉄骨部分が熱の流出・流入経路となる(ヒートブリッジ)ためこれもまた冷暖房効率が悪い。これを解決するために、断熱材を構造材の外側に貼り付ける(外張り断熱)手法もあるが、やっているメーカーが少ないし、そもそも、構造材の外に貼り付けるなど、大した重量・厚さではないことが容易に想像できるため、却下である。軽量鉄骨も同様の理由で却下である。RC造はコストが・・・。それにコンクリの熱容積が大きく、夏場は夜まで暑いというのもあってこれも却下。

以上を勘案すると、私が建てたいと思うメーカーは一つしかなかった。一条工務店である。

一条工務店ならば、全館床暖房、20畳オーバー対応のエアコン、熱交換率90%を実現した換気システム、内張断熱+外張断熱、これらが全て標準でつけられる。ただし、全ての商品に、ではないが。気密測定(C値[開口面積cm^2/床面積m^2]測定)も全棟チェックしてくれる。

他はどうだろう?と思って調べて見ると、大体同じような思想(高気密高断熱)で作っているのは輸入住宅のスウェーデンハウス。でもこちらはもう明らかに予算オーバーなので最初から諦めていた。あとは桧家住宅か。ただアクアフォームという、要は発泡ウレタンの断熱材にどれくらい期待して良いかはよく分からん。ただ、屋根下まで断熱材が入っていて小屋裏が部屋として使える、しかも標準で施工してくれるというのはプラスだった。なので、これも候補に入れてみることとした。あとは展示場に行って考えよう。

で、行った。

一条工務店の展示場に行った。名前と住所を書かせられた。展示場の人が出てきた。ここがハウスメーカー選びでは非常に重要なプロセスである。名前と住所を書き、ここで案内してくれた営業さんが、今後我々の営業になる。最初に相手をしてくれた営業さんが今後もずっと相手をする。ホストクラブ方式らしい。ホストクラブもこうらしい。知らんかった。

説明を聞く。まあネットで事前に調べたので大体知っていることだけだった。新しく知った情報は、20万でホームシアターが作れるということ、断熱材がめちゃくちゃ厚いということ、キャンペーン中なので外壁が安く全面タイル張りに出来ること、くらい。いくつか質問をした。

・工法は2x6だけど、SPF材なんでしょ?SPF材ってすぐ腐るんじゃないの?
→防腐防蟻材を加圧注入しているので、スペック上は70年持ちます。

・自己資金がこれくらいで、ローンがこれくらいで、土地も持ってないけどたてれる?
→たてれます。十分です。土地も我々が探した方がスムーズです。探します。

これくらいだったかな。ただし、今思い返してみると、ここで「オプションいっぱい付けたいので高めに見積もって欲しい」ということを一言言っておけば良かったと思う。

一条工務店は、何故か知らんが「一条工務店で家を建てます!」みたいなブログがあちこちに乱立していて、そこから詳しい情報を調べられるので、ネットで大抵の疑問は解決できてしまった。(実際に家を建ててる本人の話なので信憑性が高い・クロスチェックも容易)
一つ付け加えると、言っちゃ悪いが、こういうブログを書いているひとの文章は大体気色悪い。

この時点で一条工務店で建てることはほぼ心の中で確定。強いて一つ不満点をあげるとするならば、一条の家はダサい。ダサいというか、より正確に言うと、オッサン・おばちゃん趣味って感じ。あのブリティッシュ風の濃厚な感じが嫌すぎる。が、最近でてきた商品だともうちょっとマシになっている。が、それでも「マシ」というレベルで不満が残る。

何故ダサいかというと、一条工務店が独自に開発したキッチン・風呂・カップボード等と標準採用しているからだそうだ。そうすることで、低コストで高品質なものを提供できるとのこと。なるほど、ごもっともである。そう言う設計思想は私もむしろ好きです。好感が持てます。何の文句もありません。文句は言いませんが不満は残りました。

次、桧家住宅。
桧家住宅は、まあ、名前の通り在来工法で桧を使っている、屋根まで断熱、というのは評価するのだが、一条だと標準装備だった全館換気システムの様なものがない。オプションで全館冷暖房に出来ます!と営業が言って居たが、俺が効きたいのは換気システムであって空調システムでない。

小屋裏は狭いが、あれだけのスペースが標準で確保できるのはやっぱ良いと思う。ちょっと嫌だと思ったのがサッシがアルミ複合サッシだったこと。「樹脂サッシですよ!」とかいうから期待したら、中身はアルミだった。樹脂の方が断熱性が高いため、当初の目的を実現するためには樹脂サッシの方が良い。一条工務店はアルゴンガスを封入した窓ガラス・樹脂サッシが標準だった。もう触って温度差を感じるくらいの差であった。

桧家住宅、悪くなかったのだが、入ったタイミングが悪かったと思う。
なぜか巨漢の男女(客)があちこちところ狭しと動き回って家が揺れていた。嫁は「巨漢とはいえ家が揺れるってどうなの?」と言っていた。確かに俺もそう思う。あと、営業が頼りなさ過ぎる。名刺を見ると「店長」と書いてあったが、まず家の寒い玄関で20分程度「会社が増収増益」とかいう自慢話を聞かせられ、社長の顔写真付きの会社理念を説明され、それからようやく室内に入らせてもらった。俺は家を見に来たんだけどな・・・。とてもじゃないけど、あの人に任せて良い家が建つとは思えなかった。コストパフォーマンスは魅力的だったが、これも無しになった。

次、ヘーベルハウス。
嫁に「次そっちが決めて」と言い、ヘーベルに行くことになった。
ヘーベルは予算オーバーなので建たないと思っていたが、展示場の兄ちゃんが目を輝かせてやる気満々で、「絶対この値段で建ちます。任せてください」と言っていた。内装は、一条、桧家とは雲泥の差で、超かっこよかった。嫁も俺も気に入った。土地探しも強いから任せてください、というので任せることにした。一条の対抗馬はヘーベルとすることとした。

ただ、冷静に考えると、私もテンションが上がっていたと思う。工法は重量鉄骨。断熱材もそれほど厚みがあるわけでもない。最重要視したのは高気密高断熱だが、お世辞にも断熱性が高いとは言えない。事実、ヘーベルは東北での展開が無いそうだ。内装がキレイだからテンションあがってしまった。ヘーベルで家を建てようとしていた人が、「モデルハウス並みの内装にするためには相当に金をかけないと無理」と言っていた。

10月始め~末まで

一番積極的な営業はヘーベルだった。1週間後には営業担当、店長、提携不動産屋の担当を家につれてきた。店長は、営業担当が若いからサポートとして付いてきたのだろう。営業担当のプロフィールが書かれた紙を見ると、まだ大学を卒業して間もない年だった。まあ俺もそんなに年食ってる訳でもないが。

で、この店長が喋ること、喋ること。如何に4500万のローンを組んでヘーベルの家を建てることにメリットがあるかを力説する。それも今すぐ。説明の仕方も非常に手慣れた感じだった。「ローン減税があるから大丈夫」「長期優良住宅だと税金が優遇されるから大丈夫」など。しかしそもそもの発端は今の家賃が高いという不満だったのに、大丈夫大丈夫とか言われても本末転倒なんだけどな。という旨を説明すると、「普通は今よりも良い住まいに住むことになるんだから、皆さん現在の家賃よりは高い支払いでも納得するんですけどね」などと言っていた。はーん、そうですか。としか言えない。

あと、事前に「Q値K値(断熱性能の指標)、C値(気密性能の指標)についてのデータを示してよ」とメールで送っていたのだが、それに対する回答は「Q値C値にこだわっても無意味。だって窓の面積で断熱性能なんて大きく変わるんですから」というものだった。私はこれは回答になっていないばかりか、各指標の算出方法と意味すら理解していないのでは無いかと訝った。

結論としてヘーベルは無しと決めた。営業(店長の方)も私の気持ちを察したのか、それとも私は上客ではないと判断したのか。来週また別の展示場に行って、一条の別の商品を見てみると伝えると、「じゃあその結果、私どもを選択肢として残していただけるのかどうか教えてください」と言っていた。ちなみに、提携不動産屋の担当のおっちゃんはものすごい良い人だった。他社で建てるとしてもおっちゃに頼みたいくらいだった。

一条の別の展示場に行った。今回見たのはi-smartという商品で、最新の、たぶん一番一条の中ではダサくないデザインだと私は思っている。率直に言うと、まあ進んで建てたくなるデザインではなかった。嫁は「本棚の穴(棚を据え付けるための穴)が気になる」「キッチンの引き出しの取っ手が気になる」などと不満げだった。まあ、俺も不満は不満だが、それほどとやかく言うほどは不満ではなかった。

その日は、私だけで突っ走ってる感があるので、嫁にも「どこか自分の意志で見たいメーカーを見てよ」と言い、積水ハウスに行った。私は積水ハウスに関しては事前の知識がほとんど無かった。積水ハウスはツーバイと鉄骨と両方の工法が選択できるらしいが、行ったのはもちろんツーバイの方。行ってみたら思ったより良かった。ただ、今住んでるのが積水のアパートで、なんかとてもよく似ているのが気になったけど。
営業さんに坪単価聞いたら、完全に予算オーバー。XXXX万くらいで土地付きで建てれないっすか?と聞くと、「相模湖ならなんとか・・・」などと言っていた。とても正直だと思う。相模湖から通ったら通勤に何時間かかるんだろ・・・。しかし、少なくとも私は、4500万のローンを組ませようとするよりはずっと誠実で良い営業だと思った。

その日の夜、一条の営業さんからメールが来て、「奥様にはあまり好評でなかったようで。フル装備の他社さんに比べたら、ほぼ標準仕様の一条と差が出るのは当然です。クロスにちょっとお金をかけるだけでずっと良くなりますから」と言っていた。そうなのだろうか。見てみないと何とも言えない。

色々やったが、やはり一条以外の選択肢は無いと思った。一条は絶対値引きをしないらしいので、当て馬を作るのも無駄である。一条と話を進めるべきであると方針は決まった。

が、土地が無い。っつうか、高い。東京の土地高すぎる。たまに安い!と思ってよく写真を見ると、絶壁に近かったりひな壇だったりする。ああいう盛り土の土地は絶対にやばい。神奈川の方なんか雨降ったらしょっちゅう崩れたとかニュースでやってる。

今住んでいる市だと、予算+300~400万で、接続する道路も土地自体もクソ狭い土地しか見つからなかった。それでも一応現地までは見に行った。すると、不動産屋のじいちゃんがクラウンの中で待ち構えていて、「メーカー決まってるの?何?一条さん?一条さんよりはずっと良い家建てますよ。私たちに任せてくれたら。1X00万で建てますよ」などと言っていた。坪数を考えるとちょっと不安すぎる金額だ。が、じいちゃんはそんなことお構いなしに電話をかけまくり、「ああっ、XXXさん?今ね、一条さんで建てたいってお客さんが来てるんですけど、そうそう、XXX産業さんに頼んだら、ずっと良い家が建つでしょ?そう。悪くないよね?だから私そう言ってるの。だからとりあえず家を見てもらおうと思ってね、え?XXXのとこ引き渡しちゃった?見れない?」などとごちゃごちゃ言い始め、その間に娘は泣くわ、俺も帰りたいわで散々だった。
その後じいちゃんには丁重にお断りの連絡を入れ、その土地は2ヶ月以上たった今も買い手が付かないみたい。そりゃそうだと思う。狭いし、家の前の道路も細い割に交通量が多くて歩道も無いし、カーブで先が見えないくせにサンデードライバーが道のど真ん中を突進してくるんだもの。

だから俺はもうちょっと土地が安い、埼玉に住もうと思った。不動産屋の資料を見ると、土地がまずでかい。東京みたいにせせこましい区切り方をしていない。最低でも40坪はある。だがしかし、「行ったこともないような未知の土地に住むのは嫌」と嫁が言うので諦めた。最低でも、俺の職場から車で行こうと思えば行ける位の距離にして欲しい。何故かというと、「台風で電車が止まったときに親子二人だけで過ごすのは不安すぎる」というやけに具体的な理由。まあ、土地があればね、位に思っていた。

長くなったので続きはあとで。